あわもり

呉市広本町1-1-4 TEL:0823-73-2597 16:00-21:00 日祝休

  どれでも1本90円(スジ肉、皮、厚揚げ、コンニャク、ぴら天、棒天、
  じゃが芋、蒲鉾、肝、玉子、合鴨、タマネギ、ロールキャベツ、ねぎま、
  ウインナー、いわし団子)、ビール小瓶350円大瓶500円、酒200円、泡盛160円

 広交差点からJRの高架に向かって進んだところにある、レトロな店だ。レト
 ロと言っても、最近のテーマパークにあるような、作られたレトロではなく、
 昔から変えていないリアルなレトロ。
 大きな振り子時計も、日めくりカレンダーも、魔女の釜のようなおでん鍋も、
 おそらくずっと昔から同じ佇まいでそこにあったと推測される。特におでん鍋
 は東城町の「香川飲食店」と双璧の渋さと思う。入口から想像するよりも、店
 内はずっと広く、詰めればカウンターに30名弱は座れそう。
 
 提供するのは、おでんと酒類のみという潔さだ。しかも、おでんは一品90円均一
 という驚きの安価で、種はちゃんと他店並のサイズがあるのだ。ビールも大瓶が
 500円とリーズナブルだし、店名通り泡盛が置いてあるが、これなど一杯160円。
 かなり腹が空いていればともかく、30歳過ぎた僕には、2,000円分飲み食いする
 だけのパワーがなかった。たぶん、客単価は1,000円強だろう。
 僕はまず、ビールを頼み、この店のウリである、スジと皮をお願いした。
 スジは、柔らかいものと硬いものがあり、好みに応じて盛ってくれる。中には硬
 めが好きな人もいるようで、アキレス腱の硬い部分を好んで頼んでいる人もいた
 が、僕はゼラチンぷにゅぷにゅが好きなので、柔らかめをお願いした。
 
 ツユが真っ黒で、種もしっかり染まっているので、かなり濃い味を想像したが、
 口に入れると思ったほど辛くなかった。かなり緩めに溶いた和芥子を付けて食べ
 るとちょうど良い。しかも、90円の料理であるにも関わらず、一串当たり5つほ
 ど、串に刺すには硬いスジ肉を当たり前のように丁寧に串刺ししてある。
 今時、800円代の料理に業務用食材を使う店が多いのに、この実直さは賞賛されて
 しかるべきと思う。特に料理人は、この姿勢を学んでほしいと思うな。皮という
 のは、何と豚の皮。
 沖縄料理のラフテーなどでは皮付きが一般的だし、最近は皮付きチャーシュウを
 出すラーメン店も出てきているが、ここはその皮だけをおでんに入れて提供して
 いる。ほぼ正方形に切った皮を、一串4枚、やはり串に刺してある。食べると、
 ねっとりしたゼラチンの塊で、まだ温かい最初の内はねっとりムチムチしてする
 りと食べられるが、冷めてくると、だんだんコリコリしてきて、噛めば噛むほど
 重い味が口に拡がる。よって温かい間に食べるのがベストだ。もし、口の中がゼ
 ラチンで重くなったら、泡盛で口を洗うと良い。ビールくらいでは口直しになら
 ないためだが、店名のとおり、ここには泡盛が置いてあるのだ。あらかじめ別の
 容器に移してあるため、銘柄は不明。養命酒用のカップよりも、二周りほど大き
 いグラスに泡盛を注ぎ、好みに応じて梅のエキスを落としてくれる。
 
 常連の多くはそのままの泡盛を頼んでいる人が多かったけれど、僕的には梅のエ
 キス入りのほうが旨いと感じた。聞くと、梅がメインながらも、他の素材も色々
 と入っているらしい。
 
 その他にも色々食べた。ロールキャベツは小さなものが二つ、中には海老のミン
 チらしきものが入っていた。合鴨はつくねでタマネギと一緒に二つ刺してあった。
 色々と野菜が入っていたのもあるだろうが、鴨らしさはあまり感じなかった。
 いわし団子は一串三つで、ふんわりした口当たり。ねぎまはネギの合間に二つほ
 ど小さな肉片が刺さっているのみなので、実質的には白ネギと思ったほうがいい。
 中でもここの味付けに合っていると感じたのは、コンニャク。ブリブリした食感
 で、味も良く染みて、皮の合間に丁度良かった。
 
 サービスは、ちょっと職人っぽいおじさんと、明るく人当たりの柔らかいおばさ
 んの夫婦のようで、常連のおじさんたちと冗談を言いながら仕事している。
 それにしても、この安さに慣れてしまうと、他の店には行けなくなるのでは?と
 思うほどの値段設定。特にこの店の看板である皮はゼラチン豊富なため、胃壁の
 保護になるし、酒の肴としても秀逸だし、常連が多いのは当然と感じた。
 僕も近所に住むか、働いていれば、きっと常連になるだろう。
 こういう店は長く営業を続けてほしいと心から願うのだ。    (04.10)