お好み焼き のぐち

http://hamanet.jp/kaishoku/detail.aspx?txtKshopcd=1374

 広島県尾道市尾崎本町2-6 TEL:0848-37-7848 17:00-1:00

                          /月火水木休/P有(2台くらい?)

 ほたて・すじ玉550円、肉玉・シーフード・すじ650円、揚いか・すじ・肉玉600円、
 肉玉・ほたて・すじ650円、砂ずり・すじ玉550円、砂ずり・揚いか・すじ玉600円、
 揚いか・すじ玉500円、スペシャル800円、肉玉・すじ550円、肉玉・砂ずり・すじ650円

 オリジナリティあふれる尾道の名店だ。
 
 まず、鉄板に生地をひくのだが、ほとんどの店がやるように、粘り気のある生地を
 引き伸ばすのではなく、ざぶざぶシャバシャバの、ほとんど小麦粉を大量の水に溶
 かしただけに見える生地を、バシャッと鉄板に落とす。あまりに緩い生地なので、
 水たまりのように鉄板に広がり、それがそのまま生地になる。
 
 広島市内でお好み焼きを食べ慣れていると、驚くような光景だ。
 
 そして、生地の上に鰹節の粉を結構多めに振る、その上にキャベツ。キャベツの量
 は全然多くない。広島市内の一般的なレベルと比べると、おや少ないね、と思う量
 だ。ただしキャベツは手切りで、店主が切り置きせず、丁寧に切っていた。
 その後、キャベツの上に蒸し麺をのせる。この麺はただの蒸し麺ではなく、
 尾道ラーメンの一角を支える井上製麺所の麺を使用しているらしい。

 確かにスーパーに売られているような麺とは違い、色が白っぽく、そもそも食べた
 ときの味が全然違った。かん水の臭いがなくて、しっかり焼いても風味が爽やかな
 のだ。この麺もいい仕事をしているなぁ。そして、その麺の上に天カスをのせ、
 注文に応じた具材がのせられる。
 
 僕は6番、砂ずり・すじ玉だったので、砂ずりとすじだった。砂ずりは鶏の内臓だが、
 すじというのは一見してふわふわした、白くて頼りない油脂の塊だ。これは豚の網脂
 ではないだろうか。背脂だともっと固いし、融点が高いと思う。砂ずり入りを注文
 していたのは、客のほぼ半数。しかし、すじの入らないお好み焼きを注文をしてい
 た人は、少なくとも僕がいる間はいなかった。それくらい、すじ入りがこの店で定
 着しているということなのだろう。なお、砂ずりは強めに塩胡椒して、鉄板で一旦、
 極レアに焼いて麺にのせる。そして、これらの素材を加えるときに、好みで紅生姜
 を追加できる。全ての客に「紅生姜はどうされますか?」と訊いてくれるので非常
 にありがたい。
 
 僕は当然パスして焼いてもらった。全ての具材を麺の上にのせると、全体をひっく
 り返し、じっくり時間をかけて焼く。当然、鉄板に触れたすじはラードになるが、
 それを麺が吸い取り、まるで揚げられたようにパリパリになる。
 これは府中市の「さち」に近い技法だな。「さち」の場合は、麺の上に脂が出るミ
 ンチ肉を使い、麺のパリパリ感を演出する。違うのは「のぐち」の場合、上質な脂
 を使っているため、脂っぽさがほとんどない点だ。
 
 しっかり焼き、麺がパリパリになったら、玉子で閉じる。
 この玉子の閉じ方も「半熟でいい?」と確認してくれるので、とてもありがたい。
 僕は半熟な玉子が大好きなので、半熟でお願いした。そして、ソースをお好みでか
 けるのだが、このソースもシャバシャバで独特の風味がある。どこの製品か尋ねる
 と、オタフクソースのウスターソースとお好みソースを、ブレンドして使っている
 とのことだった。ここで気をつけたいのは、玉子が半熟なところへ、刷毛でソース
 を塗ると、刷毛が汚れてしまい、ひいてはソースが汚れてしまうこと。そんなこと
 をすると次の人も、店にも迷惑をかけるので、刷毛にソースをたっぷりつけ、上か
 ら振り落とすようにしよう。ソースの粘度が少ないので、簡単に実行できるはずだ。
 
 その他には、青海苔と化学調味料が置いてあった。僕は青海苔を使ったが、科学調
 味料を使う人は少なく、瓶も一瓶しか用意されていなかった。そして、何も言わな
 ければ鉄板で食べさせるところも好ましい。動物性の油脂が多用されているし、
 冷めて蝋のように固まる可能性があるので、やはり鉄板がベストだろう。
 
 さらに、この店にはマヨネーズボトルのキープ制度があり、冷蔵庫には名前の書か
 れたマヨネーズがどかどかと入っている。しかし、油が食べたくてたまらない学生
 ならまだしも、大人ならこれ以上、油脂を摂取する必要はないのでは?と思った。
 そもそも、このお好み焼きにマヨネーズがかかったところを想像すると、僕には合
 わないように感じられた。
 
 夜遅くまで開いているので、飲んだ後の〆に来ている人も多いが、罪作りなことに、
 このお好み焼きそのものが、これまたビールのアテとして最高に旨い。僕はお好み
 焼きを食べながら、生ビールを2杯も飲んでしまった。サービスは親父さんが独特の
 個性を発揮している。僕が訪れたときは待ち客が多かったため、名調子を聞くこと
 はできなかったが、ちょっと乱暴で、温かいお喋りは観光客にも評判だ。
 
 忙しい店なので、客にはあまり構わないが、食べるのが遅い子供に急かすようなこ
 ともせず、上記のように味のカスタマイズにも応じてくれる。
 原形はほぼ間違いなく、昭和30年頃に広島市から伝わった古いスタイルのお好み焼
 きだと思うが、そこから独自の工夫をして、得難いオリジナリティを発揮している。
 これはもはや、広島県を代表するお好み焼きの名店だと言っても過言でないと感じ
 たのだった。(03.03)

 ここでは「からさわ」のアイスクリームが買えるとのこと。それは知らなかった。
 夜中に「からさわ」のアイスクリームが買えるなんて穴場だと思う。
 てつさん、情報提供ありがとう!(03.08)