かき名庵

 広島市南区松原町2-37(アッセ6F) TEL:082-263-7317 11:00-22:00

 オイスタープレート2,500円、かき小町600円、オイスターヌーボー280円、
 クマモト580円、ブルーポイント580円、オーストラリアオイスター580円、
 タスマニア580円、オイスターシューター1,260円、かき小町のフライ600円、
 牡蠣フライ850円、牡蠣のバルサミコビネガー炒め煮850円、牡蠣グラタン
 950円、ミルクたっぷり牡蠣リゾット1,000円、熱々土鍋牡蠣飯2,300円〜
 4,200円、牡蠣コース5,000円、オリジナルコース4,300円

 広島駅ビルASSEの6階にある店だ。店名にあるとおり、牡蠣をメインにした店で、
 経営母体は「かき船かなわ」と同じ株式会社かなわ。同じASSE6階に「ASSEかなわ」
 があるので間違えないこと。外に置かれた料理を見る限り「ASSEかなわ」が民芸調
 で食事メイン、「かき名庵」がモダンで酒メインになっているように感じた。

 カウンターに座ると奥裄がしっかりとってあり、カウンターのみのようだが、
 禁煙になっているのが嬉しい。僕の目当ては、この店で出している世界各地の
 生牡蠣。いわゆる、オイスターバーのように食べ比べることができるのだ。

 僕が訪れたときは、日本産が、大神黒島産、オイスターヌーボー(大神黒島の若牡
 蠣)、かき小町(三倍体牡蠣)、フラット(フランス)、オーストラリア、タスマニア、
 クマモト(アメリカ)、ブルーポイント(アメリカ)の牡蠣があった。
 2,500円のオイスタープレートでは、五種類の生牡蠣を出してくれるので「珍しい
 のにしてほしいな」とリクエストしたら、外国産の牡蠣ばかりを選んでくれた。
 一見して「ん?少し痩せてない?」と思ったが、まぁある程度は致し方ないだろう。
 生産者直営で、すぐ近くの海から揚げた牡蠣と、飛行機に乗ってきた牡蠣の鮮度を
 比べるのは、いくらなんでも無理がある。
 
 酒は生牡蠣に合わせるのであれば、日本酒と思い、島根の開春を燗でもらった。
 燗の加減は上燗レベル。酒はカウンターの向こう側へ、開栓後も常温で置いてあ
 り、決して保存が良いとは言えない。しかも、種類が無闇に多い。このままだと
 確実に劣化する酒が出てくるぞ。
 
 牡蠣の濃い味には、日本酒がベストチョイスと僕は考えているだけに、この扱い
 はちょっと残念だな。さて、生牡蠣だが、最初の一つはブルーポイントを選んだ。
 ミルキーで甘さが強く、貝柱が太い。深いコクがあり、噛み締めると貝柱のシャ
 キシャキがあった。これは旨いわ。たぶん、誰が食べても喜ぶタイプの生牡蠣だ。
 
 続いてオーストラリア。これは青海苔のような香りがする。塩っぱさが強めで、
 コクや甘さはあまりない。次にクマモト。これは50年前に日本の熊本県から種牡
 蠣を運んだことに由来する。サイズはこれだけ特に小さい。大きなアサリの身く
 らいの大きさしかない。牡蠣そのものが小さいためか、味に深みがなく、あまり
 牡蠣っぽくない。
 
 次はタスマニア。甘味と渋味が強く、塩気もかなり強い。オーストラリアの牡蠣
 は概ね塩味が強いようだ。最後はフラット。これは明らかに殻の形が違う。
 牡蠣と帆立貝の中間のような形なのだ。つまり、かなり平べったい。牡蠣そのも
 のも楕円形ではなく、真円に近い。口に入れてすぐ、何だ?これは?と思った。
 草を食んだときのような青臭い香りがして、塩分がとても薄い。というか、これ
 はホントに海の貝なのか?と思うレベル。甘味とかコクとか渋味とかはほとんど
 ない。他の牡蠣とあまりに味が異なる。
 
 食べたときは単に驚いただけだったが、帰宅して調べるとオストレア・エデュリス
 というマガキとは別の牡蠣と判った。ちなみにマガキはクラッソストレア・ギガが
 の学名。世界の牡蠣は、ほとんどがマガキなので、今となっては珍しい牡蠣だ。
 外国の小説とか読んでいると、牡蠣を1ダース食べたとか書いてあり、そんなに牡蠣
 ばかり食べられないだろう、と思っていたが、今回、その違和感の理由が少しだけ
 判った。僕が普段食べている瀬戸内の牡蠣は、すごく味が濃厚なのでそう感じるが、
 世の中にはさっぱりした牡蠣というのが色々とあるのだった。以前、サロマ湖や
 厚岸の牡蠣を食べたときもそう感じたが、瀬戸内の牡蠣は世界的に見ても味が濃い
 のかもしれない。
 
 で、ここまで食べたら、記憶がフレッシュなうちに地元の牡蠣も食べてみたいなと
 思い、大黒神島の牡蠣も追加でお願いした。サイズ的に2年物と感じたので、やはり
 選ぶならこれだな、と思ったのだ。オイスターヌーボーは若いなりの良さがあるけ
 れど、これだけ生牡蠣を食べた後では物足りないだろうし、かき小町は三倍体牡蠣
 なので、僕はあまり好みではないのだ。早速、見慣れた牡蠣を口に入れると、
 そうそう!これが牡蠣だよ!と膝を叩いた。
 
 まぁ、僕が食べ慣れた味というのもあるが、2年物のヨクセイと呼ばれる牡蠣なの
 で、甘味、渋味、コク、ミルキーさがとても深い。ただし、渋味が強く出てくる
 ので、牡蠣の苦手な人には決してお勧めできないが。
 そして何よりも、かなわ水産自らが養殖した牡蠣だから、良い粒を選んであるに
 違いないし、鮮度が極めて良いのだ。スタートラインが違うのだから、単純に
 比較することはできないが、改めて広島に住んでいると旨い牡蠣が食べられる
 ことを認識した。
 
 生牡蠣ばかり半ダースも食べたので、次は牡蠣フライでも食べようかと思い、
 かき小町のフライをお願いした。普通の牡蠣フライも置いてあるが、せっかくな
 ので普段は食べられない牡蠣フライを食べようと思ったのだ。出てきた牡蠣フライ
 は1個を3口で食べるほどの大きさ。やや味の深みに欠けるが、さっぱりして旨い
 牡蠣フライだった。通常、一口で食べるので、軟体部も外套膜も一緒に食べる
 ことになるが、大きな牡蠣なので軟体部だけ、外套膜だけ、という食べ方になっ
 たのは面白かった。当然、軟体部はコクがあり、外套膜はアサリなどのような
 さっぱり感がある。ソースは酸味のあるカクテルソースが添えてあり、肌理の
 細かいパン粉と良く合った。ここまでに牡蠣を7個。しかも、かき小町を1個食べ
 ているので、実質8個分は食べている。あまりたくさん、牡蠣ばかり食べるのも
 どうかと思ったので、この辺りで止めておいた。
 
 ちなみに、この店は牡蠣がメインではあるけれど、瀬戸内の魚も色々と揃えて
 ある。牡蠣が食べられない人でも充分、選択肢はあるはずだ。これまでに何度か、
 広島で牡蠣を食べるときにどこへ行けば良いかと問われていたが、ここは紹介
 するのに丁度良いなぁと感じた。勉強しながら牡蠣が食べられるし、あらかじめ
 コースを頼んでいなくても、その場で食べたいように決められるのが嬉しい。
 そのままここで牡蠣のリゾットなり雑炊なりを食べて〆ても良いし、牡蠣で酒を
 飲んで、お好み焼きで〆ても良い。駅ビルという交通の結節点に、面白い店がで
 きたなと感じた。今度はもう少し料理した牡蠣料理を試してみたい。
 
 なお、サービスは割と一生懸命な印象。普通の牡蠣フライは何の牡蠣を使ってい
 るの?と訊くと「マガキです」と言われたのには苦笑するしかなかったが、概ね
 頑張っている。できればもう少し牡蠣について勉強し、客にプレゼンできる
 レベルであってほしい。途中から厨房の兄ちゃんと話をしたのだが、彼はもう
 少し勉強していた。なんにせよ、笑顔と愛想が良いので、今後に期待したい。
 季節により提供品目は変るだろうから、公式サイトを確認してから訪れることを
 勧めるな。 (06.01)
 http://www.kanawa.co.jp/kakimeian.htm