かんらん車

  広島市中区猫屋町2-16 TEL:082-233-7027 11:30-15:00 18:00-22:00 月休
  

   そば肉玉630円、お好み焼き定食787円、かんらん車スペシャル892円、
   特性スペシャル1,155円、イカ天+105円、餅+105円、納豆+105円、W+157円、
   ネギ+157円、生イカ+157円、生海老+157円、シーチキン+210円、焼そば630円、
   焼飯630円、そばめし787円、野菜炒め630円、ネギ焼き735円、とんぺい682円、
   豚キムチ525円、ホルモン577円

 十日市の電車通りから一本入った通りにある店だ。僕は最初「かんらん」という
 店名と思っていた。キャベツの和名が甘藍(かんらん)だからだ。しかし、よーく
 見ると、その後ろに付いてるイラストが「車」という字を表しているのだと判っ
 た。
 かんらんの部分を平仮名にしてあるということは、キャベツの甘藍とダブルミー
 ニングにしたのだろう。少し前にふらりと入って食べ、作り方は「みっちゃん
 (総本店)」の流れだなと思いつつ、キャベツの量が多い割にはしっかり熱が入っ
 ており、これは良いなと感じたのだ。よって、正確には再訪となる。
 
 実は、前回、作るところをじっくり見ていなかったのだが、妙に気になる点があ
 ったのだ。今回は基本のそば肉玉へイカ天入りとした。焼き方は生地、魚粉、
 キャベツ、天カス、(イカ天)、モヤシ、バラ肉×2枚、ラードでしばらく置き、
 ひっくり返す。特徴はキャベツの切り幅がやや厚めで、冷凍らしきバラ肉の厚さ
 もかなり厚いこと。ひっくり返した後は、結構時間をかけてじっくりと焼く。

 他店と比べてキャベツが多いので、どうしても時間がかかるんだろうな、と思い
 見ていると。途中、ものすごく意外な処理を行った。生地を上にして蒸し焼きに
 されている野菜の上にのった生地をめくり、肉を引き出すではないか。その肉を
 鉄板の別の場所に置き、生地を剥がすと、中のキャベツとモヤシをコテでひっく
 り返し、肉の上に置き直したのだ。最後に生地を上にのせ、何事もなかったかの
 ように焼き続ける。つまり、鉄板に触れている肉の部分と、上部に被さっている
 生地はそのままに、キャベツやモヤシは全て上下が逆転してしまうのだ。こんな
 処理は修業元を含め見たことがない。
 
 しかし、よく考えると、実に合理的な処理なのだ。
 キャベツにはしっかり熱を通さなければならないし、だからといって片面だけを
 じっくり焼くと鉄板に触れた部分が焦げてしまう。だったら、キャベツをひっく
 り返して両面焼けば良いではないかと思い付いたのだろう。実際、この焼き方が
 功を奏して、焼いている途中の焦げはとても少ない。鉄板上で焦げて捨てられる
 キャベツが少ないのは、まだもったいない精神が残っている僕の世代には、とて
 も嬉しいことだ。麺は生麺で、定番の磯野製麺。比較的茹で時間は長めと感じた。
 茹で上げた麺を薄くラードを引いた鉄板にのせ、円盤状に成形してじっくり焼く。
 この辺りは修業元と同じだなと思っていたら、片面が焼けたら、今度はひっくり
 返して反対側も焼き始めるではないか。
 これには再び驚いた。「みっちゃん(総本店)」の流れで麺を両面焼く店があると
 は。香ばしく狐色になった面を上にして、コテで少し突いて形を崩し、反対側を
 焼くときにはラードをふりかけ、化調らしき白粉を少々振る。野菜のパートは全
 体的に水分が滲み出て、生地がふにゃっとなるくらい熱を入れ、最後まで押えず
 に麺の上にのせる。
 
 焼いている途中、熱源の位置と火加減には常に注意を払っており、十分に焼かれ
 ているにも関わらず、野菜はほとんど焦げていなかった。麺の上に野菜を置いて
 からも上から押えず、鉄板に接した部分の麺がカリカリになったら、潰した玉子
 で閉じて、オタフクソース、青海苔とシンプルに仕上げて出来上がり。形状的に
 はやや高さがあるのが特徴で、麺が内側の部分も焼いてあるため、麺とキャベツ
 の接点で地滑りを起こしやすい。
 
 さらに、お好み焼きそのものが熱く、鉄板の温度も高めという点も難しさを加速
 する。鉄板で食べなければ、広島のお好み焼きではないと思っている鉄板フリーク
 にとって、難しさは中の上くらい。鉄板初心者にはややハードルが高いと言える
 かもしれない。
 完成度の高い「みっちゃん(総本店)」の焼き方をベースにしながら、他店に比べ
 てキャベツを増量し、増量による熱の通りが不意均一になり、鉄板との接地部分
 が焦げてしまういうジレンマを、コペルニクス的転回により解決した点が僕的に
 はクリティカルだった。この点を高く評価し、星4つとしたい。
 
 味的にも、厚めの肉によるラードの湧出、麺を焼く際のラードなどにより、キャ
 ベツの爽快な甘さとは別に、ラードならではのコクと風味がプラスされ、上々の
 旨さだった。個人的にはもう少し塩などで味付けを施し、ソースを少なめにした
 ものが好きだが、その辺りは好みだろう。卓上にはソースの他に、マヨネーズ、
 胡椒、七味唐辛子が置かれ、自由に使えるようになっている。
 
 サービスは普通というか、店主らしき男性はあまり喋らない。夜は鉄板焼き系の
 料理を出すようなので、少しは喋るのかもしれないが、昼はほぼ無口。
 ただし、無愛想というのではなくて、焼くことに集中している印象を受けた。
 頻繁に鉄板へ水を落とし、その水の反応を見て、温度を細かく調節するなど、
 高い温度を維持しながら、焦げることのないよう細心の注意を払っている。
 たぶん、ご夫婦と思うのだが、調理補助で女性が一人おられ、会計なども担当さ
 れていた。細かな点を見ても、キャベツの切り置きをほとんどしないなど、基本
 がキチンと守られていて、そこへ独自の工夫を加えているという印象。
 今度はぜひ夜に訪れ、鉄板焼きも堪能したい。 (05.11)