迷ってみましょう広島51

 このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

 しまなみ海道の広島県側で一番の観光スポットといえば、生口島・瀬戸田で
しょう。耕三寺に平山郁夫美術館。行かれたことのある人も多いでしょう。

 メジャーな観光スポットでは迷えないかもなぁと思いつつ地図を見ますと、
耕三寺前の商店街がなんだかちょっと良い感じです。行ってみましょう、島の
観光地へ。

 広島から車で尾道へ。そこからしまなみ海道を通り生口島へ。より旅情を感
じたいなら三原や尾道から出ているフェリーに乗るのも良いでしょう。
瀬戸田まで来て、耕三寺と美術館を過ぎて海沿いに出ると、無料の駐車場があ
ります。ありがたいことですね。車を止めて散策へ出かけましょう。

 まずは駐車場から歩いてしばらくの場所にある、瀬戸田歴史民俗資料館へ。
土蔵を改装した小さな資料館です。受付のおばあちゃんに挨拶をして中へ。1
階の農具を見ていると、面白いものを見つけました。「芋切り機」です。
芋をセットし、ハンドルを回すと、芋がどんどんスライスされて出てくるので
す。干し芋を作っていたんでしょうね。初めて見ました。芋生産が盛んだった
のでしょう。
 2階はかつて島で盛んだった塩田について。コンパクトな展示スペースなが
ら、かつて使用されていた道具や当時の写真が充実してますね。ここで面白か
ったのは、カルシウムが鍾乳石のように固着した竹の枝。櫓のように組んだ棒
にたくさんの竹の枝を固定し、上からポタポタと海水を垂らして風の力で水分
を蒸発させ濃い塩水を得る方法では、海水中のカルシウムが竹に固着するので
す。展示されていたものでは、そのカルシウムが僕の親指ぐらいの太さになっ
てました。割れた部分から断面を見ますと、細い枝を中心にして、結晶化の際
にできた筋が放射状に広がっているのが見えます。面白いなぁ。なめたらどん
な味がするんかなぁ。

 資料館を出て、商店街へ。土産物屋で蛸の干物が揺れてます。レモンのお菓
子も多いなぁ。あ、それから、自転車の人がえらく多いですね。レンタサイク
ルの人と、ツーリング途中の人。皆さん気をつけて旅行を楽しんでくだされ。
 商店街自体は、ご多分に漏れず閉まっている店をいくつも見かけます。よく
見る光景とはいえ、やはり少し寂しいものです。

 途中で観光マップを手に入れ、それを見ながらあちこち歩き回っていたとこ
ろ、秋とは思えぬ強烈な日差しにやられてもうダメ、どこかで休まにゃ死ぬる
わい、どこかええ所はないかとたどり着いたのが耕三寺の門前にあるジェラー
ト屋さん「ドルチェ」。レモンと瀬戸田みかんのジェラートをたっぷり盛って
もらってウキウキと店外のベンチへ。と、涼しい日陰のベンチはツーリング姿
のおじさんが愛車を脇に全力でジェラート堪能中。このくそ暑いのにおじさん
と隣同士で食べるのは嫌じゃ、他のベンチはと見ると、通りに面した炎天下の
ベンチが燦然と輝いております。おいおい、こちとら暑いけえジェラート買っ
たんよ、なんで炎天下で食わにゃならんのかい。かと言って、汗だくのおっさ
んの横はもっと暑い。わしもおっさんじゃが、あのおっさんの横は嫌じゃ。し
ょうがないのぅ、炎天下で食うか。

 尻の熱いのを我慢しつつ、しぶしぶ食べ始めたのですが、そのさわやかなレ
モンの香りとあっさりしたみかんの味にすっかり涼しくなってしまい、いつし
か僕もあのおっさんの様に全力で食べておりました。そうしたら、目の前を通
り過ぎる観光客がですね、「あ」とか「おっ」とか「うまそう!」とか言いな
がら、次々にドルチェへ吸い込まれていくのですよ。僕が食べている間に15
人ぐらい入店しました。笑えます。多分あのうちの何人かはあのおっさんの横
に座ったはずです。さらに笑えます。

 それからは、「中華せとだ」というお店でラーメンを食べた後、もう少し散
策。平山郁夫さんの生家のあるあたり、古い町並みが残っている場所も歩いて
みました。途中、地元の歴史に詳しいおじさんと巡り会い、昔の瀬戸田の様子
をいろいろ聞かせてもらいました。海に突き出した場所にある小さな「竜宮」
のほこらの下には大きな穴があって、その穴が集落裏手の井戸に通じていると
いう伝説や、その穴にこれまた大きなコブダイが住み着いているのだという伝
説、二つが並んでいる井戸は片方が軟水でもう片方が硬水なのだという話、そ
れから、島には水が少なかったので芋をたくさん作っていたという話(芋切り
機とつながりましたね)など、ガイドブックには載っていない話、面白かった
です。
 
 その古い町並みを歩いていてひとつ気がついたことがありました。それは、
道が左右に微妙にずれながら延びていること。遠見遮断でしょうか。遠見遮断
というのは、防備のためにわざと見通しを悪くした町並みのことで、広島市で
は西区草津の入り組んだ路地や安佐北区可部の鉤型に曲がっている街道などに
見られます。この瀬戸田の道も、わずかずつですがガタガタになってますね。
もしそうだとしたら、江戸時代以前の戦乱の多かった頃に構築された町並みで、
なおかつ守らなければならない重要な町だったということになるのでしょうが、
はたして。
 もうちょっと詳しく調べてみなくてはいけませんね。

 彼岸過ぎて、やっと涼しくなってきましたね。みなさん、町を迷うには良い
季節ですよ~。

瀬戸田みかんネット
http://www.setoda-mikan.net/index.html

ドルチェ
http://www.setoda-dolce.com/

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