しみず食堂(しみずしょくどう)

 広島県尾道市東御所町60-8 9:00-19:00/水休(祝の場合は振替)

 巻き寿司420円、ばら寿司320円、稲荷寿司110円、惣菜300円、飯170円、
 味噌汁100円、煮鯖300円、塩鯖250円、尾道ラーメン420円、中華うどん370円、
 うどん320円、地魚900円程度?

 その昔、戦後の闇市の雰囲気が残る長屋で営業していた、尾道の名物食堂だ

 その昔、戦後の闇市の雰囲気が残る長屋で営業していた、尾道の名物食堂だ。通り
 に面して入口があり、店の裏には雁木があって、海に面していた。その後、再開発
 で海岸線はすっかり様変わりし、小奇麗になってしまったが、この店だけは、当時
 と変わらない営業形態でいまも続いている。
 もちろん、建物は新しくなったけれど。営業開始は、一応9時となっているけれど、
 早い時間だとご飯、味噌汁、惣菜くらいしか用意できていない。
 
 この店の名物は魚料理なのだが、それらが出来上がってくるのは10時半くらいから。
 朝食として訪れるなら、朝でもいいが、魚を目当てにするのなら、ブランチ感覚で
 訪れると良いだろう。僕はまさにブランチとして利用した。店に入って、何を食べ
 ようかなと考えていると、ガラスの冷蔵庫に出来たてホカホカのメイタガレイの煮
 付けが運ばれてくるではないか。これを冷めないうちに食べたいと思い、それを
 一つと、野菜の煮物を一つ。ご飯として、連れが巻き寿司を頼んだので、僕は稲荷
 寿司と尾道ラーメンを頼んだ。ラーメンはちょっとどうかな?と思ったが、尾道
 市内のラーメンについては訊かれることが多いので全店制覇しておきたいのだ。
 
 さて、まずはそのラーメンのことから書こう。メニューには「尾道ラーメン」と書
 かれているが、一般的に認識されている尾道ラーメンではない。非常に澄んだ、
 琥珀色のスープで、表面にはほんの少しだけ油が浮いているが、油分はそれだけ。
 背脂や腹脂の塊は一粒も浮いていない。味的には業務用スープに近いというか、
 素材感がなくて、原材料が判別し難い味。麺は鮮やかな黄色の中太ストレート麺で、
 かん水の臭いが強く、僕はどうにも食べ切ることができなかった。
 他に具は、チャーシュウ、メンマ、モヤシ、青ネギ。ある程度のラーメン好きなら
 ば、ここまで書けば、少なくとも尾道ラーメンではないことは理解できるだろう。
 
 それよりもこの店でお勧めなのは魚料理だ。先に述べたメイタガレイ。これはもう
 実に素晴らしい旨さだった。かなり濃い目に煮付けてあるが、瀬戸内の旨味が濃い
 魚にはそれが良く合う。身は深く、皮のゼラチンがぷりぷりして、これとご飯をも
 らって食べても素晴らしかろうと思った。野菜の煮物はカボチャ、フキ、茄子だっ
 たが、これも濃い目の味付け。どの野菜もびっくりするほど大振りに切ってあるの
 だが、そのために野菜の味が逃げず、表面積が増えないので濃い目の味付けが良く
 合った。これが漁師料理というものなのかな?

 稲荷寿司は人参などが入った、田舎っぽい仕上げだが、最後に海老粉を塗してある
 のが堪らない。海老粉とは、小さな海老を煎り付けてソボロ状にした海老田麩のこ
 と。最近は鮨店でも田麩を作らないところが多いというのに、ここではきちんと手
 造りしているのだ。味付けなどはさっぱりして家庭的な稲荷寿司ながらも、この海
 老粉が決め手になっていると感じた。巻き寿司は穴子、玉子焼き、干瓢などが入っ
 たもので、具よりもご飯のほうが多い感じだけど、こちらにも海老粉が入っていて
 しみじみ系の旨さ。これならば、お持ち帰りにしても良いと思う。
 実際、僕たちも食べ切れなかったので、何切れかサランラップに包んで持って帰っ
 たのだ。店の裏手でほっこりしながら、これらの料理を楽しんでいると、近くの
 七厘で立派なタチウオが焼かれていた。熱源は練炭だ。訊くと、焼魚は全てこの
 練炭を使うとのことで、だから一度にたくさんは作れないのだとか。逆に、裏手に
 回って旨そうな魚が焼けていたら、それをもらって、熱々の状態で食べることもで
 きる。
 
 実際、常連さんはそういう人が多いとのこと。僕もタチウオが旨そうだったので頼
 もうかと思ったが、既に頼みすぎていたので諦めた。次回への楽しみとしておこう。
 サービスはのんびりとして人情に溢れる。手が空いていたら「どこから来たん?」
 という感じで話かけてくれたりする。これから尾道をぶらりとしようかなと思う人
 が、ちょっとしたブランチに立ち寄るには、最適な店と思う。
 店は変われど、人も料理も、昔と変わらないなぁと思うのだ。  (05.05)
 再訪 テイクアウトで稲荷寿司だけ買って帰った

 再訪。テイクアウトで稲荷寿司だけ買って帰った。 1個150円である。簡単なパック
 に入れてくれるが、油揚げが非常にジューシーで、そのままだと水分が染み出てく
 るので、必ずビニール袋を貰うか、持参すること。ご飯はふんわりと詰めてあり、
 味は甘め。薄いピンク色の海老粉がしっかり塗してある。これが旨いんだよね。
 逆にさっぱりとはしていないので、たくさんは食べられないが、熱いほうじ茶でも
 入れて、2〜3個食べると満足できる。大きさ的にもやや大きめなので、一人3個で
 軽い食事、4つも食べれば結構お腹が膨れると思う。尾道のテイクアウト巻き寿司
 &稲荷寿司は「きはら食堂」が穴場だけど、駅前だったらここも狙い目と思う。
                                (08.09)