たんこぶ

 広島市中区三川町10-18 TEL:082-247-5896

  大根、こんにゃく、玉子、糸こんにゃく、はんぺん、丸天、野菜天、
  いか天、すじ肉、わかめ、ロールキャベツ、きんちゃく、シュウマイ、
  厚揚げ、竹輪麩、豆腐

 デンスケビルの3階にある店だ。カウンターだけ10席程度の大きさで、親子らし
 き女性二人が静かに営業している。おでんが主流で、他には刺身やちょっとした
 おつまみがいくつか揃っている。おつまみ類にはあまりそそられなかったので、
 僕はおでんばかりを食べた。
 
 珍しいのは竹輪麩があることで、広島県内のおでん店の中でも珍しいのではない
 だろうか。竹輪を入れている店は多いが、僕は竹輪麩のほうが好きなのだ。早速
 頼むと、少しだけ色付いた、かけうどんに使うようなツユに浸かった竹輪麩が出
 てきた。煮込みの時間の問題なのか、品質の問題なのか、ちょっとねっちょりし
 ており、麩のふんわりした触感が感じられなかったけれど、それなりに旨かった。

 ツユは塩がちょっと立ち気味で、化調らしき風味も少しある。気になるほどでは
 ないが、少し残念だ。続けてすじ肉と厚揚げ。すじ肉はアキレス腱の部分だろう
 か、脂がなく、ちょっとコリコリした触感で、さっぱりとした旨さ。しかし、も
 う少し煮込んでトロトロになったほうが僕は旨いと思うんだけどな。醤油の味は
 弱いので、すじ肉の癖を抑えきれていないようにも感じた。
 
 厚揚げにしても同じで、ちょっと油の風味が勝ってしまう。なかなか旨いだけに
 惜しい。ロールキャベツは、ほとんどがキャベツを巻いてあり、芯までトロトロ
 になっている。芯の部分には、肉ではなく海老のミンチが少量入っていた。これ
 は冬のみ登場する「たこつぼ」のおでんと同じ作りだ。僕は肉が入るロールキャ
 ベツよりも、こちらのほうが旨いと思うので、大満足だった。キャベツの甘さと
 海老の香りがおでんとして秀逸なのだ。定番の大根は、上に朧昆布をのせて供さ
 れる。このやり方は、近年増えているけれど、なかなか合っていて旨い。ただし、
 大根の風味を大切にしたいならば、一緒に食べないほうがいいかもしれない。

 他にはわかめのおでんなども食べた。ツユの中に最初から入っていたようで、色
 は黒くなっていたが、その代わりトロトロに柔らかくなっており、これはこれで
 旨い。「とくあん」では、さっとツユにくぐらせて、鮮やかな緑とシャキシャキ
 した触感で食べさせるが、どちらも捨てがたい魅力がある。
 
 サービスなどは非常に家庭的で、ちょっとゆったりし過ぎの印象も受けるが、店
 主の秋田弁を聞いていれば、そんなことは気にならなくなった。そう、女性の店
 主は秋田県出身なのだ。そして、カウンターの上を見ると、筒状に整形したご飯
 が置いてあるではないか。聞くとやはり、きりたんぽに使うものとのことだった。
 きりたんぽをちゃんと自家製にしているところが凄い。 10月からの料理とのこと
 なので、次回はぜひこれを目がけて訪れたいと思う。
 
 他に秋田県の郷土料理はないの?と訪ねると、今はこれしかやっていないとのこ
 と。しかし、筒状のご飯を入れれば、即ちきりたんぽになる訳ではないらしく、
 色々なルールがあるようだった。なお、ツユのベースはおでんと同じとのこと。
 寒くなったら再訪したい。 (03.09)