はっぴ

   広島市西区己斐本町1-19-14
    TEL:082-275-2772 11:00-14:00 17:00-19:00(土日祝は中休みなし) 火休

  ざる蕎麦700円、おろし蕎麦900円、山かけ蕎麦1,100円、鴨ざる1,300円、
  蕎麦お代わり+500円、かけ蕎麦600円、鴨南蛮1,200円、舐め味噌200円、
  焼みそ300円、焼き海苔300円、板わさ300円、汲み上げ湯葉500円、
  だし巻き玉子500円、鴨汁800円、鴨ロース500円、にしん甘露煮400円

 「豊平町手打ちそば保存会」で修業した方が始めた店だ。店内に入るなり、蕎麦を
 挽く大きな石臼とそれを回す機械が設置してあり、びっくりする。どうやら自家製
 粉しているらしい。すっきりと清潔な蕎麦店らしい店内はとても居心地が良い。

 ざる蕎麦を頼むと、店主が真剣に蕎麦を扱い、真剣に茹で上げ、しっかりと水切り
 して手際よく提供された。
 蕎麦の趣はどこか豊平町に引っ越してこられた高橋邦弘さんの蕎麦を思わせるもの。
 僕はまだイベント会場での蕎麦しか食べたことがないので、正確なところは判らな
 いが、この人が目指しているのは高橋さんの蕎麦なのかもしれない。
 強い主張や香りの強さはないけれど、清々としてコシがしっかりしている。バラン
 スの良い蕎麦だと感じた。ぐいぐいと噛みしめると野趣を感じるのに、上品さを
 併せ持っている。こういう蕎麦ってありそうでなかなかない。かなり旨いと思う。

 「たつ吉」よりもこちらの方が好きだという人がいても全然不思議じゃないレベル。
 ツユは辛口。手繰った蕎麦にちょっとだけつけて食べるくらいで丁度良い。薬味は
 長ネギとワサビだった。ワサビは当然、本物のわさび。ツユに溶かし込むよりも、
 舐めながら食べると合うように思う。僕が食べ終わるのを見ると同時に蕎麦湯が運
 ばれてきた。その時に不思議なのは、京都産の風味の良い一味唐辛子が添えられた
 こと。これを蕎麦湯に入れろということなのかな?と思い、一振りすると非常に辛
 いので驚いた。それほど蕎麦に合うとも思えないし、これはやや疑問。もっと少な
 めに加えれば良いのかな?
 
 店主らしき男性はぴしっとカウンターの内側に立っており、サービスは奥様らしき
 女性の担当。この女性はとても爽やかで、心配りが感じられる方だった。
 帰り際に「こちらの店主は豊平で修業されたんですよね」と尋ねると「はい。豊平
 でも、修業しました」と答えられた。なるほど。豊平の蕎麦打ちに惚れ込んだとい
 うよりも、高橋さんの蕎麦に惚れ込んで修業されたのかもしれないな。
 蕎麦店らしく、中休みなしで営業しており、店じまいは早い。
 幸い、交通の便は非常に良い立地なので、ちょっと早い時間に訪れて、酒とアテを
 楽しみ、夕方になって蕎麦を手繰って早々に帰るという楽しみ方ができる。
 これからを見守りたい店だ。(01.11)

 再訪。週末の早い時間に軽く一杯飲みたくて訪れた。酒のアテも良かった
 が、蕎麦も以前より随分旨くなっていた。アテは、板わさ、焼味噌、汲み上げ湯葉
 のメニューにあるものの他に、鴨南蛮の抜きと海苔を食べた。
 板わさはどう考えても費用対効果が安すぎる。この価格で提供していたら割に合わ
 ないと思う。それくらい高い品質だ。
 
 焼味噌は、普通に旨い。杓文字に塗って焼き付け、塩辛さが控えめで旨いけれど、
 特筆するほどではない。汲み上げ湯葉は、濃厚な味と、豆腐の繊維質が感じられ、
 とても旨かった。これは500円とは思えないたっぷりの量。酒飲みには特にオススメ
 だ。
 出色な旨さだったのは鴨南蛮の抜き。肉の厚さはしっかりと厚く、ツユに浸かって
 いるのに内側はほんのりピンク色で、噛み締めると肉汁がほとばしる。
 また、鴨ざるにすると丸(団子)が付かないが、抜きだと付いてくる。
 これがホコホコでまた旨いのだ。そして、もう一つの魅力は鴨の油が染み出たツユ。
 ちょっと辛めのこのツユとの相性が実に素晴らしく、このツユでしばらく酒が飲め
 た。ただし、これらの酒に合わせる酒は、意外なほど充実しておらず、中途半端
 な印象を受けた。たずねてみると、ご主人は酒を嗜まれないかたらしい。
 それでなのかな?酒の品揃えのバランスが悪いように感じられた。
 
 これだけのアテを揃えたのであれば、もっと安くて旨い酒を期待してしまうのだ。
 その後、久しぶりの蕎麦。蕎麦の量は思ったよりもたっぷりで、これなら2枚で
 満腹になると思う。少ない店の大盛くらいの量があるのではないか。
 そして、蕎麦がパシッとしていて実に瑞々しい。細いけれど強い噛み応えが
 あり、爽やかさが強い蕎麦だった。そしてそれに合わせるツユもいい。抜きを食べ
 たときも旨いと思ったけれど、ツユがしっかり辛口で、ダシが香ばしく効いている
 のが好ましい。
 以前よりも随分旨くなっていると思う。その上、今でもご飯類は一切置かず、
 店内は開店当初と変わらぬほどピカピカに磨き上げられている。そういう店なの
 で、店主は変わらず緊張感を持ち、一つ一つの作業を真剣に行っているし、奥様は
 変わらず明るく爽やかだ。
 蕎麦というのは、元々庶民的な料理のはずだけど、現在はやや高級化路線を歩んで
 いる。しかし、この店は庶民的な雰囲気を保ちつつ、蕎麦の品質は他店に比べて
 高い。東京の蕎麦店を知る人が、そうそう、こういう店を待っていたんだよ、
 と膝を打ちそうな良い店になってきたと思う。ぜひ週末の昼酒と蕎麦を楽しみに、
 出かけてもらいたい店だ。(03.02)