わだち草

広島市安佐北区落合5-3-17 TEL:082-845-6501  11:30-15:00 17:30-21:00 木休

 地粉うどん550円、玉子うどん630円、海老天うどん830円、海老天玉子うどん900円、
 地粉ざるうどん550円、おろしざるうどん600円、地粉釜揚げうどん600円、
 胡桃ダレ釜揚げうどん700円、釜玉うどん700円、大盛+150円、豆腐と水菜のサラダ
 600円、地穴子の天ぷら600円、天然海老の天ぷら600円、青菜のおひたし250円、
 めん揚げ400円、季節の漬物350円

 三良坂産の地小麦を使う意欲的な店だ。かなり判りにくいが、幹線道路から少し

 入った静かな場所に、しっとりと落ち着いたセンスの良い店を作り上げている。
 僕は、ざるうどんを頼み、連れは胡桃ダレ釜揚げうどんを選んだ。そして、野菜
 が食べたいので青菜のおひたしと、お勧めだと言われた穴子の天ぷらも頼んでし
 まった。まず、青菜のおひたしが出てきた。しゃっきりして旨い小松菜で、苦味
 が爽やかでエグ味がない。ダシはほんの少ししか使われていないが、素材が良い
 ので、それで充分。抑制が効いた旨いおひたしだった。そして、地穴子の天ぷら。
 これはお勧めと言われるだけあり、天ぷら専門店に負けない旨さだった。こちら
 も素材が良いのだが、それだけではなく揚げ方が巧い。カラリとしてクリスピー
 な衣と、ジューシーな穴子の対比が良く、唸らされる旨さだった。さらに油の質
 が良いことも特筆できる。サラダ油の石油臭い風味と、消化の悪そうなベタつい
 た重さがなく、冷めても香ばしさが持続し、油切れが良い。尋ねると菜種油との
 ことだったが、これならば天ぷらうどんにすると、揚げ油のコクがツユを旨くす
 るだろう。実は、うどん店とは思えないくらい、酒が充実しており、驚くことに
 エビスの生ビールが置いてあるし、甲奴郡の瑞冠や呉市の雨後の月という、広島
 県が誇る旨い酒が揃っているのだ。蕎麦店で、蕎麦の前に酒を飲むことを「蕎麦
 前」と呼ぶけれど、この店にはさながら「うどん前」が豊かに揃っているのだ。
 肝心のうどんは、釜揚げが先に運ばれてきた。要した時間と、ざるよりも先に釜
 揚げが出てくることから、生麺から茹でていることが判る。しばらく後に、僕が
 頼んだざるが供された。色が少し灰褐色で、ぴかぴかした輝きではなく、つき立
 ての餅のような鈍い輝きがある。食べると表面にややぬめりを感じ、決して柔ら
 かくはないが、噛み締めるようなコシは感じなかった。しかし、小麦の豊かな香
 りと、口の中に残る小麦の甘さが素晴らしい。麺そのものに塩分が効いているの
 で、ツユに浸けず、そのまま食べると、そちらのほうが麺の旨さをダイレクトに
 味わえた。ツユに浸すよりも、そのまま食べたほうが旨いうどんだ。僕はツユを
 ちびちび飲みつつ、うどんを摘んで食べた。薬味は生姜、青ネギ、白胡麻で、ツ
 ユそのものもキリッとして旨い。ただし、旨いには旨いけれど、うどん打ちの技
 術はまだ向上の余地がかなりありそうだと感じた。麺線が短く切れてしまってお
 り、触感の楽しさに欠ける。旨さと風味は素晴らしいので、そこへ触感の楽しさ
 がプラスされれば、グンとレベルアップするだろう。さらに意外なほど旨かった
 のが、連れが頼んだ胡桃ダレ釜揚げうどん。コシは完全にないけれど、ふんわり
 して柔らかいうどんと熱々の胡桃ダレが好相性。うどんに風味があるので、胡桃
 の旨さに負けないのだ。今は強いコシのうどんが隆盛だが、そんな挑みかかるよ
 うなコシは苦手だという人も多いだろう。そんな人にこそ食べてもらいたい。な
 お、意外なくらい旨かったのは、めん揚げといううどんを揚げたもので、小麦と
 油が良いために、ヘタな菓子より遥かに旨かった。さらに、食後にはきんつばな
 ども出すようだ。まだ客が少ないため、店主と少し話ができたのだが、自然食品
 店勤務を経て、池袋の「硯家」で修業したとのこと。なるほど。出自の確かな食
 材を使う点と、うどん店なのに酒と肴が揃っているのはそういう理由からなのだ。
 店主はまだ若く、真っ当で旨い料理を提供したいという意欲がヒシヒシと感じら
 れた。将来が楽しみな店がまた一軒生まれたな、と、温かな気持ちで店を出たの
 だった。 (03.05)
 再訪。何としても、この店の旨い料理で一杯やって、うどんを食べたかったのだ。
 壁には前回はなかった、ぶっかけうどん650円を始めたとはり紙がしてあった。
 新しい店なので、色々と試行錯誤しているのだろう。まずはめん揚げと生エビス
 ビールを頼んだ。注ぎ方が丁寧だし、サーバーがきっちり洗浄されていることが
 判る。やはり生ビールはこうでなくちゃいけない。豆腐と水菜のサラダは、中心
 に豆腐を配し、たっぷりの水菜を盛り、味付けには胡桃ダレが使われていた。
 これが非常に旨いのだ。水菜の出自も確かなものらしく、瑞々しいほろ苦さが良
 かった。穴子は前回食べたので、海老の天ぷらを頼むと、身の部分を叩いたタイ
 プの天ぷらが2尾供された。海老の熱の通り具合はばっちりなのに、ほんの少し衣
 の水分が抜けていないところがあったりしたが、素材の良さが少しくらいのミス
 を凌駕していた。海老にはいわゆる「海老臭さ」がほとんどなく、爽やかな風味
 と甘味が強く感じられた。そして、やはり衣と油、ツユの旨さが素晴らしかった。
 続いて漬物や冷や奴などを頼んだが、どれも旨かった。漬物も当り前のように手
 作りの糠漬けだ。ただし、まだ新しい店なので、値段と量のバランスが悪いとこ
 ろもある。値段と比して、驚くほどたっぷりで嬉しい品もあるし、あれ?これだ
 けなの?と思う料理もある。その辺りは追々、改善されてくると思う。〆のうど
 んは、やはりざるを頼んだが、前回よりは旨くなっていた。短く切れていたのも
 改善されており、むちぃと粘るようなコシが印象的。ついつい食べ過ぎてしまい、
 苦しくなるくらい腹一杯になった。僕は讃岐系のうどん店では、醤油の品質に眉
 をひそめることが多いのだが、この店ではそれがないのも嬉しい。まだまだ伸び
 ると思うので、これからも期待し続けたい。 (03.06)