アーメイさんのキュウリ

 先日、シャオヘイさんに、桃を譲っていただいた。シャオヘイさんといえば、皆
 様ご存じ、大人気「快食.com」のサイトオーナーであり、ヒロシマガイドメール
 マガジンの10日号に「広島食べ歩き」を連載している、あの、お方である。

 桃といえば岡山だが、これは神辺の桃である。通常はもっと未熟な状態で収穫、
 出荷されるそうだが、この桃は可能なまでに収穫を遅らせ、木生りで熟成をすす
 めたとのこと。広島にもこんなにうまい桃があるのだなぁ。熟れた桃を眺めると
 き、ちょっとエッチな妄想が脳裏を駆けめぐるのは安藤だけだろうか?

 シャオヘイさん宅に桃を受け取りに行ったとき、アーメイさんに自家栽培の無農
 薬野菜をわけていただいた。アーメイさんは、シャオヘイさんの奥様である。
 アーメイさんの文章はコワイくらいに切れ味鋭く、時に安藤を震えあがらせるほ
 どである。論理的なシャオヘイさんの文章と双璧といってもいいだろう。

 ところで安藤の二歳半の息子は言葉が遅い。いまだにわけのわからぬことを口走
 る。最近の彼の口癖は、「アーメイさんの・・・」である。つい先だって、妻子
 がシャオヘイさんご夫妻と昼食をご一緒させていただいたとき、行きかえりの車
 中で何度も聞いたであろう、「アーメイさん」という語感が気に入ったらしい。

 スイカを食べれば、「アーメイさんのスイカね」
 桃を見れば、「アーメイさんのモモね」
 シャワーをすれば、「アーメイさんのシャワーね」

 アーメイさんにいただいたキュウリを、スティックにして彼に食べさせようとし
 たが、頑としてうけつけない。ところが、「これ、アーメイさんにいただいた
 キュウリだよ」と告げると、「アーメイさんのキュウリね」といいながらボリボ
 リ食べはじめるではないか。

 「アーメイさんのセロリ」「アーメイさんのピーマン」「アーメイさんのニンジン」

 この呪文・・・安藤ちでは当分重宝しそうである。

 それにしても、一日中、「アーメイさん」「アーメイさん」「アーメイさん」で
 ある。彼の頭の中は、「アーメイさん」一色なのであろうか。

 はて?彼は、「アーメイさん」という語感が気に入っただけなのだろうか。それ
 だけなのだろうか。もしかして彼は身近に見るアーメイさんにイチコロで恋に落
 ちたのではないだろうか。年上の女性の魅力・・・である。

 しかし、いかんせん、彼はまだ未発達であるし、社会の仕組みも、何も知らない。
 ころあいをみて、彼に忠告してやろう。

 「二十いくつの年の差だけなら、なんとでもなるだろう。だけど、アーメイさん
 は諦めなさい。なぜなら彼女は人妻なのだからね」


 安藤トロワー@会社勤めをしながら家事もこなす兼業主夫(ああ忙しい)