一久

   東広島市西条西本町17-3 TEL:082-423-7475 11:00-14:00 
             17:30-21:00(土日祝-21.30) 火水休(ただし祝は営業) P有
 ロースカツ定食1,239円、ちょっと小さめのロースカツ定食1,029円、
 ジャンボロースカツ定食1,344円、手のべヒレカツ定食1,449円、
 ちょっと小さめの手のべヒレカツ定食1,239円、一久巻1,449円、
 姫御膳1,239円、カツ丼819円、カツカレー924円、カツサンド630円、串カツ315円
 

 西条中央公園の北側の道をしばらく西進したところにある店だ。マンションの1階
 にあるが、大きな看板が出ているのですぐに判るだろう。ロースカツがウリのよ
 うで、メニューの最初にロースカツが書いてある。やはり、とんかつ店のメインは
 ロースカツだと僕は思うので、その心意気が嬉しい。
 店頭に置かれたメニューを見て、よし!ロースカツを食べよう!と決心し、勇んで
 ドアを開けると、まるで開店直後の百貨店のように、間髪入れずに

 「いらっしゃいませ!」とお辞儀されてしまった。
 
 これには少々驚かされた。今どきそこまでやる店はほとんどないと思う。席に案
 内され、気を取り直してロースカツ定食を頼んだ。スタッフはちょっと驚くくら
 い丁寧な物腰である。すぐにほうじ茶を持ってきてくれ、しばらくぼーっとして
 いると、厨房の物音が微かに聞こえてきた。どうやらちゃんと注文を受けて衣を
 付け、揚げているようだ。料理が運ばれてくると同時に「ご飯、キャベツ、豚汁
 はおかわり自由になっておりますので、適宜お申し付けくださいませ」と説明を
 受ける。
 
 まずはトンカツをと思い、箸で持ち上げてびっくりした。衣を考慮に入れない豚
 肉だけの厚さが2cmくらいある。なんだこの厚さは?と思うくらいの厚さだ。
 これだけ厚いトンカツは草津の「とんき」以来だ。しかも衣がほとんど剥がれて
 いない。揚げ加減は今まで食べたどの店よりもレアに仕上げてある。おいおい、
 こんなに生っぽくしてもいいのか?というくらいレアだ。僕はこのほうが絶対に
 旨いと思うので、大賛成だが、よくぞ客がついてくるものだ。これは無菌豚なん
 だろうな。そうじゃなきゃできない仕事だ。肉質に豚らしいしっかりとした風味
 とか、脂の濃厚な旨さはないけれど、それらを犠牲にして、レアな肉の旨さをこ
 の店は選択している。肉の風味重視ではないため、肉質はとても柔らかい。さっ
 くりと歯の進入を許し、肉の繊維がさらりとほぐれる。
 
 そして衣にも特徴がある。揚げ加減がレアなので、肉汁が重力に従い、とんかつ
 の下面にさがってきて、底の衣の部分をふやかせてしまう。しかし、そのことを
 考慮し、上面の衣にだけさくさくの粗いパン粉を使い、下面には使っていないの
 だ。粗いパン粉は使い過ぎると油っぽくなるし、使わないとクリスピー感に欠け
 るが、上面と下面で使い分けるとは面白い工夫だ。
 
 ソースは甘口と辛口の二種で、僕は甘口も試したがお好みソースのような甘味が
 あり、あまり好みではなかった。辛口でもそれほど辛くはないので、大人には辛
 口を勧めるな。それ以外には塩が置いてあったのが嬉しい。もし、ビールが飲め
 るならとんかつに塩を振って芥子を付け、ビールのアテにすると本当に旨いのだ。
 僕は塩と芥子で食べたが、やはり旨かった。特に脂身の多い部分は塩で食べると
 余計に脂の甘味が感じられるのだ。その他には七味唐辛子も置いてあった。これ
 は豚汁に使うこともできるだろう。キャベツは機械切りのようで、ふんわりとし
 たキャベツが小山のように盛られている。そこへ自家製らしき二種類のドレッシ
 ングをかけて食べる。ゆずとレモンを使ったノンオイルドレッシングと、油は使
 われているけれど、野菜たっぷりドレッシングだ。僕はどちらも使ったが、酸味
 のはっきりしたゆずとレモンが好みだった。それほど多く振りかける必要はなく、
 軽く振れば充分旨い。油っぽさを酸味がさらりと流してくれるので、次のとんか
 つがさらに旨くなるのだ。これが良く切れる包丁で切られた手切りなら文句ない
 のだが、それをやるとコストに跳ね返りそうだな。
 
 ご飯はやや柔らかめだけど充分旨い。おかわりしようかと思ったけれど、充分足
 りてしまった。たぶん、肉の風味がそれほど強いわけではないので、ご飯をわし
 わし食べるほどではなかったということだろう。味噌汁は豚肉の破片も入ってい
 る豚汁で、野菜の煮え加減も良く旨いのだが、白味噌の質がもう少しよくなれば
 さらに旨くなると感じた。なかなか旨い白味噌って入手できないのだが。
 そして、少しだけ添えられた白菜の漬物が自家製っぽくて旨かった。やはりとん
 かつ店では旨い漬物を出してほしい。サービスは会計をお願いした最後の最後ま
 で良く、恥じらいと誠実さが感じられた。コストパフォーマンスとサービスを総
 合的に勘案して星4つ。
 
 東広島市には旨いとんかつ店が多いと聞いたが、少なくともこの店に至っては、
 その噂は間違いないようだ。なお、公式サイトもあるので、訪れる際には参考に
 してほしい。 (02.10)

 再訪。しかし店内で食事はせず、カツサンドをお願いした。このカツサンドとヒ
 レカツ巻きは、提供に時間がかかるため店内では提供しておらず、持ち帰り専門
 のメニューとなっているので注意すること。しかしこれが抜群に旨いのだ。たった
 630円でこんなに旨いカツサンドを出していいのか?と思うほど。耳を落とし、
 香ばしく焼き色を付けた食パンに、ソースをたっぷり付けたとんかつを挟んであ
 るだけだが、豚肉がふんわりと柔らかく、パンと一緒にさっくり噛み切ることが
 でき、噛み締めると肉の繊維がさらりとほぐれ、口の中で全てが一体となる。

 うーん、僕が二年前に食べたよりも、さらに旨くなっている印象。こりゃ次回は
 何としてでも店内で食べなければならないな。カツサンドは持ち帰りとして出色
 の旨さだけど、店内で揚げ立てのトンカツを食べるほうが旨いに決まっているか
 らだ。僕としては、店内でトンカツを食べ、一人でこんな旨いトンカツを食べて
 しまったという罪悪感から逃れるために、家人へカツサンドをお土産にするとい
 うのがベストと感じた。トンカツを食べている間に、カツサンドが出来上がると
 いう寸法だ。なお、これだけ旨いトンカツを提供しているのだから当然だが、昼
 時は非常に混雑するため、お持ち帰りのみの場合は、必ずピーク時を外すこと。
 僕は13時半過ぎに訪れたが、それでも店内に客が多く、出来上がりまでに20分程
 度待ったのだ。そうそう、待っている間に壁に貼られた何かの検査結果を読むと、
 この店で使っている中国産割箸の安全性に係る結果報告だった。
 お金を払って(こういう検査は決して安くない)割箸の検査を行うという、その気
 持ちのベクトルが、結果として旨いトンカツに結実しているのだと、僕は大いに
 感心させられたのだった。 (04.04)