迷ってみましょう広島29

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

  雨が続きますね。梅雨明けはいつになるんでしょうか。
 今回は三原に行ってきたんですが、歩き回っているうちに土砂降りの雨に降ら
 れて往生しました。

  さて、三原といえば三原城。沼田川の河口にあった小島を連結して建設され、
 外堀がそのまま海に繋がっており、船で城内に入ることが出来たという軍港も
 兼ねた大要塞。この城を造ったのは毛利元就の三男、小早川隆景。三本の矢の
 1本ですな。毛利元就も小早川隆景も、瀬戸内海を牛耳る村上水軍とタッグを
 組みましたから、この様な船での利用を意識した城が造られたんでしょうね。
 なんせこの場所に築城すれば、沼田川と瀬戸内海の両方の水上輸送ルートを使
 え、海沿いの町はもちろん内陸部の町への移動も容易と、いいことずくめ。

  満潮時に海から眺めると、まるで海上に浮いているように見えたところから
 浮城(うきしろ)とも呼ばれ、その成り立ちや構造の独自性、規模のでかさ、
 また数々の有名武将との関係など、県内でも有数の歴史遺産といって差し支え
 ないこの超カッコイイ三原城、今はどうなっておるかというとですね、
 新幹線のホームになってます。

  ん?
 どーゆーこと?
 今一瞬でもそう思ったそこのあなた!あなたにぜひとも見ていただきたい、今
 の三原城を!

 三原城天守台への行き方:(1)JR三原駅下車(2)駅構内にある「天守台
 こっち」の矢印に沿って進む。(3)階段を上る。上ってみたら、そこがさっ
 き自分が通った改札のすぐ横だと気付いてちょっとびっくりする。(4)ドア
 を開けて外に出る(5)そこが天守台です。

  なんじゃこりゃぁーっと、思わず、三原の中心で松田優作を叫ぶことでしょ
 う。いや、国鉄の線路がここを通ると決まったときには、沼田川の堆積作用の
 せいで三原城の周りは遠浅になってたらしいんですよ。無用の長物、そういう
 ことだったんじゃないですかね。いや、それにしても、城跡のど真ん中を駅が
 ぶち抜いているとは、無惨な光景です。
  小さな公園になっている天守台から、残された掘のよどんだ水を見下ろして
 いる間にも、すぐ横を新幹線がびゅんびゅん走り抜けていきます。在来線はた
 まにしか来ないのに、新幹線は本数が多いなぁ。そうよな、新幹線は東京やら
 大阪やら福岡やらを結んどるんじゃもんな。このレールの上には、三原の時間
 じゃなくて大都市の時間が流れとるんよね。大都市の時間。大都市のダイヤ。
 そんなことを考えているうちに、ちょっと寂しくなってきました。いかんいか
 ん。気を取り直して、街へ出てみましょう。

  駅の南側は工場地帯になっていて、街はきれいな碁盤目状に整備されており
 ます。ぶらぶらするのに面白いのは駅の北側、山に近い辺りです。ざっと見た
 だけでもお寺の屋根がいくつか見えてます。

  ずいぶん懐かしい感じのする通りに出ました。道幅からして、かつての街道
 ですね。その道から山の手に登るように、人ひとり通るのがやっとというぐら
 いの細い路地が、くねくね曲がりながら何本も伸びています。味のある道です。

  雨が強くなってきたので、お寺の軒下で雨宿りをしました。静かな境内にひ
 とりぼっちで雨に降り込められていると、今日が何曜日なのか、今が何時なの
 か、そんなことがどうでもよくなってくるから不思議です。

  いつまで待っても小降りになる気配がないので、今回はちょっと早いけどこ
 こでおしまいにすることにしました。またいつかぶらぶらしに来れるかな?と
 思いながら駅へ向かいます。お土産にやっさ饅頭も買ったしな。だるま最中っ
 ていうのも買ったんですよ。だるまの形をしていてちょっと面白いですね。さ
 て帰ろっかな。

  ところが。駅前まで来たところで、不意に見つけてしまったのです。看板に
 でかでかと「たこもみじ」と書いてあるのを。

  ちょっと待て。「もみじ」と名が付いているからにはもみじ饅頭でしょう。
 ほいじゃ「たこ」の方はどうなん。ええ、たこが三原の名物だってな事は知っ
 とりますよ。「たこ」も分かる、「もみじ」も分かる。でも、「たこもみじ」
 は分からん。う〜ん。たこが入っとるんじゃろうか。まさかなぁ。う〜ん。

  店頭で一人硬直していると、店員さんが出てこられましたので思いきって聞
 いてみました。「あ、あの〜、この、たこもみじってのは・・・」「ハイ!中
 にたこが入ってます!」うわーやっぱりかー、そのまんまじゃないかー。
 「こういう風に、中に干したたこが入ってるんですよ。クリームはチーズ味で
 すね〜」おぉなんと、中身はあんこじゃないのか!店員さんの指さす方を見る
 と、プラスチックで出来た見本が置いてありました。あぁほんとだ、たこが入
 ってら。チーズとたこですか。うーん味が想像できん。甘くはないって事か?

  それにしてもお土産としてのインパクトは十分です。十分すぎます。職場で
 配ったとき、おばさま衆がやんや、やんやと大はしゃぎする姿が目に見えるよ
 うです。府中に行ったとき買って帰った「首なし地蔵もなか」も衝撃力が大き
 かったのですが、この「たこもみじ」も負けず劣らず強力なのではないでしょ
 うか。よし、買いだ、買い!すいませーん、これくださーい。

  いやぁ、今回はお土産だらけになりましたが、良い買い物が出来ました。満
 足満足。三原恐るべし。

 翌日−。
 「昨日、三原行ってきたんでお土産です、はい、これ。」
  「わーありがとう。えっ、何これ?たこもみじぃ〜?」
  「えっ、見せて見せて。え〜〜っ、これ、たこが入っとるん?」
 「ふっふっふ、さぁどうでしょう〜。」
  「うわ〜美味しいの?何味?」
  「あぁーっ、本当にたこが入ってる!あ、でも結構美味しいよ。」
  「ほんとだ、割と美味しいわね。」

 名前からの想像とは裏腹に、塩気が効いてて、なかなか美味しいたこもみじ。
 皆さんも三原に行かれた際にはぜひどうぞ。記憶に残るお土産です。

ゑびす家
http://www.urban.ne.jp/home/tkk/
 「たこもみじ」はずいぶん前から有ったんですね。全然知りませんでしたよ。

お礼:前回の仁方の話で「なぜ壺のマークなのか」と書いたところ、読者の方
   から「焼き入れをしたヤスリを、壺に入れた味噌で冷やしていたからで
   す」という内容のメールをいただきました。大変勉強になりました。
   謹んでお礼申し上げます。
   ありがとうございました。

                             by 自転車