迷ってみましょう広島23

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

 今回は竹原に行って来ました。
 前回、西条について話していた知り合いが「今、個人的には竹原が熱いんよ」
 と言っておったのです。
 学生の頃にデートで町並み保存地区に行ったことがあるんですけど、そんなに
 熱い所だったっけ?まっ、行ってみましょう。感想はそれからです。

 広島からJRを使って竹原まで行くと、結構時間が掛かるんですよ。どうしよ
 うかなと思っていたら、高速バスが走っているのを思い出しました。車体にか
 ぐや姫の描いてあるバス、見たことありません?
 調べてみると、広島駅からなら竹原駅前まで1時間と少し。料金もJRとさほ
 ど変わりないし、よしそれならと、今回はバスに決定!

 広島駅南口の12番乗り場からいざ出発。温品バイパスを経て山陽道を東へ。
 車窓から棚田の青い稲先が風になびくのをぼんやりと眺めておりましたら、あ
 っと言う間に竹原に到着しました。竹原ってこんなに近い所だったんですね。
 これは認識を改めねば。

 さて、着いてすぐなんですが腹が減っていたので、今回の目的地の一つである
 ラーメン店の「太華園」へ行きましょう。確かこっちの方角じゃったはず。高
 校の近くだから、校舎っぽいのが見えたらそれに向かっていけばいい訳か。む
 むっ、あれはどうやら体育館ではなかろうか。ならばもう近くのはず・・・
 おっ、あれか?なんか車がいっぱい停まっとるぞ。わわ、やっぱここじゃ。太
 華園って書いてあるよ。うわ〜人多いな〜。店の外まであふれとるじゃん。こ
 りゃダメじゃ。後で来よ。

 町並み保存地区の方へ行ってみましょう。
 いや〜それにしても暑いですなぁ。夏場はあんまり炎天下をブラブラするもん
 じゃないですよ。耳の穴から煙噴きそうです。

 保存地区ではまず、竹原市歴史民俗資料館へ。
 竹原はかつて製塩で大変栄えた町だったので、それに関する資料がたくさん置
 いてあります。その中で興味深かったのは「浜子」と呼ばれた、塩田で肉体労
 働をする人々に関するデータです。年齢構成とか、給料の表だとか、そういう
 細かいデータを見ておりますと、当時の人たちはどんな生活をしてたのかな、
 皆そこそこに人生やっとったんかな、と考えてしまいます。

 さて、資料館を出て、商家を見学し、地蔵を抱っこして、竹細工屋でひとしき
 りうなり、もうそろそろラーメン屋も空いたことじゃろうと、保存地区を離れ
 た時でした。
 白い昼下がりの、蝉の声が充満した四つ角で、ふと左に目をやりますと何やら
 長く続く塀と、解説版のようなものが目に入りました。何じゃろうか。腹減っ
 とるんですけど。ビールも飲みたいし。ま、え〜か。この際じゃし、見に行っ
 てみましょ。

 解説版の前まで来ますと、「森川邸」とあります。解説版がきれいなところを
 見ると、最近になって公開され始めた感じです。大人一人300円。300円
 か〜、どうしよっかな、と門から中を覗いてみますと、石を敷いた前庭には庭
 木の影が落ち、その先に開け放った玄関、中に屏風。玄関内は板間じゃなく畳
 なのが見えます。

 これは。
 これはなにやらすごい建物の雰囲気が。映画「千と千尋の神隠し」の「油屋」
 の玄関のような、なにか妖気のようなものが感じられます。これは是が非でも
 入ってみなければ。

 靴を脱ぎ、わくわくしながら受付で300円払います。
 さあ、奥へ入ってみましょう。

 板敷きの廊下などありません。全て畳の部屋です。玄関の間から左へそろりそ
 ろりと二間ほど行ったところで突然、ドーン!と、ドドーン!ときました!
 ななっ、こっ、これは!これはすごい!ここはどこかのお城ですか?これ、個
 人のお宅だったんですよね、マジっすか?
 その二間の先には、すごい大広間が広がっておりました。正確に言うと部屋が
 五つ繋がってて、部屋を仕切るふすまが全部開け放ってあるんですが、これは
 本当にすごいです。一番奥の床の間があんなに小さく見えるなんて。
 部屋の左手はこれまた大きなお庭が広がっておりまして、庭に面した障子も全
 て開けてありますから、すごい開放感です。風の抜け具合も最高。クーラーも
 扇風機もないのに、実に快適です。

 今までいくつか豪商の家を見ましたけども、ここまで大きな家は初めてです。
 いや、今までの家も往時はこんな風だったのかもしれないですけど、それが今
 に至るまで完全な形で残っているというのは、他にはないんじゃないでしょう
 か。土間の方へまわっても、台所もきれいに残ってました。土間から屋敷への
 段差、いわゆる敷居の高さが、使用人と家人の身分の差をまざまざと見せつけ
 てくれます。台所の裏手には、大きな井戸もそのまま残されていました。

 この森川邸の土間には、塩田で製塩作業をする様子の写真パネルが展示してあ
 りました。民俗資料館にも同じ様なパネルがありましたが、こちらの方が解説
 が分かり易くて、おすすめです。
 しかし、この解説を読んでいくと、塩田での作業とは実に大変なものだなと思
 わずにはいられません。そして、資料館で見た浜子の賃金表と目の前のでっか
 いお屋敷が対比されて、思わずため息が出ました。

 塩田では、砂にしみこんだ海水の水分を蒸発させることで塩を濃縮しなきゃな
 らない。ならば当然書き入れ時というのは、秋や冬ではなく、まさに今日のよ
 うなとんでもなく暑い日の続く夏場なんですよね。
 ぎらぎら照りつける太陽の下、砂浜に潮を撒き、砂を集め、箱に入れていく。
 汗・汗・汗、熱・熱・熱。そうして出来る塩と豪邸。
 当時の浜子さん達が、どんな暮らしをして、どんな思いで居たのか、本当に知
 りたいなぁと思いました。
 でも、そんな普通の人々の生活の様子を伝える資料って、なかなか残ってない
 んですよね。

 昼時間を大きく過ぎてラーメン屋に着いたら、案の定ガラガラでした。
 生ビールと餃子、ラーメンを平らげて帰りました。
 生ビールがえらい旨くて、しみじみと幸せ感じましたです、はい。

■竹原市ホームページ
http://www.city.takehara.lg.jp/

■芸陽バスホームページ
http://www.geiyo.co.jp/

■太華園 TEL 0846-22-8577
〒725-0026 広島県竹原市中央5丁目9−39

                             by 自転車