吉浦

迷ってみましょう広島9

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

  広島駅から呉線に乗ると、呉に着くちょっと手前に吉浦という場所がありま
 す。僕は夏になるとよく友達と車で倉橋まで海水浴に行くのですが、その行き
 帰りに吉浦の駅前を通るのです。そして駅前から山に向かって長い商店街が延
 びているのを見るたびに、いつか行ってみたいなぁと思っていたのです。とい
 うことで今回は吉浦に行くことに決定。

  交通手段はもちろんJR。降り立った吉浦の駅は天井の高い涼しげな駅でし
 た。無人駅ではないところを見ると、乗り降りする人の数もそこそこにあるの
 でしょうか。さて、駅を出て国道31号をわたると、すぐにアーケードの一本
 道が延びております。が、しかし、残念ながら多くの店が既に営業していない
 様子。あちゃー、想像してたよりも寂れてますね。車からちらっと見るだけで
 は、ここまで見えなかったからなぁ。まぁ、それでも何か面白い物が見つかる
 かも知れないですからね。気を取り直して出発。

  と、ふと目を上げて分かったのですが、このまっすぐな道はアーケードの切
 れた先からもずっとまっすぐなまま山の方に延びていますね。しかも徐々に傾
 斜がきつくなっているようです。これは面白い。この道をどんどん登ってみま
 しょう。おお、何だかこの道はやけに歩きやすいですね。足を踏み出した先に
 ちょうど地面があるというか、実に登りやすい傾斜具合です。
  だいぶ傾斜がきつくなってきたなと思い始めた頃、街が切れました。道も二
 手に分かれています。ここでおしまいかな、と振り返ると、今まで歩いてきた
 道がすーっと延びて、その先にきらきらと海が広がっているのが見えました。
 いや、これはいい景色ですわ。吉浦のまち全体が西に開けていることもあるし
 夕方にはさぞかしいい感じなのではないでしょうか。

  さて、登り切ったので今度は降りるしかありません。同じ道を降りるのも芸
 がないので、違う道はないかなと探してみると、なんとあるある、ほっそい道
 が網の目のようにうじゃ〜っと広がっております。というよりも、この町全体
 が路地だけで構成されているんじゃないかと思うぐらい、細い道ばかりです。
 僕が登ってきた道が例外なのでした。未だにこんな規模で自動車社会を拒絶し
 ている場所があったんですね。もし僕がビルゲイツ並みに金持ちだったら、今
 すぐにでも街全体を札ビラ切って買い取ります。そして路地のあちこちにバイ
 トのショッカー戦闘員を多数配置して街を丸ごと秘密基地に仕立て上げるので
 す。そしてですね、路地の一番奥の方に世界最大級のシャネルショップを誘致
 するわけですよ。これは面白いですよ、シャネル目当ての客がちょっとでも道
 を間違えようものなら、向こうからダダダーっとショッカーがいっぱいやって
 来て、あっと言う間に黒い全身タイツに着替えさせられるのです。
 うわっはっはどうだ参ったか。

  さて、この街の特徴をもう一つ。うろついていて分かったのですが、この古
 風な街を構成しているのは、ほとんどが中規模以下の民家なのです。そんなの
 当たり前じゃないかと言うなかれ。最近出来たような団地ならいざ知らず、こ
 んな古い街並みの中に豪商や豪農や網元たちの作った大きな木造家屋がほとん
 ど無いというのは、すごいことですよ。逆に言えば、他の地域では真っ先に壊
 されてきた小さな民家たちが、ここには今でもたくさん残っていると言うこと
 なのです。開発の波に飲み込まれなかったのですね。おかげで、街全体が民家
 の博物館のような状態です。すごく古い家、ちょっと古い家、割と最近の家、
 昨日できたようなピカピカの家等々、全ての時代の家が同時に混在しているの
 です。これってすごいことだと思いません?

  お家の古さは庭木の大きさにも見られますよ。ほら、どの家の木も大きいで
 しょう。あのお家の柚子の木だってかなり大きいですよ。ほら、実も鈴なりで
 すし。ちょっと手を伸ばしただけで取れそうです・・・取れそうですねマジで
 ・・・いや、でも塀の内側だし・・・うっ届くか、ダメか、・・・・・・ちっ
 今回はやめとくか。
  やっぱ街探検には高枝切りばさみが必需品だな。
                             by 自転車