迷ってみましょう広島58

 NHKの大河ドラマ「平清盛」の視聴率がイマイチのようです。大河ドラマ人
気にあやかろうと県内でも様々な催しがされていますが、それらの状況はいかほ
どでしょうか。僕個人としては、遠方よりの一見さんが大挙して押しかける短期
企画よりも、近隣からの常連まったり客が訪れ続ける「ぼちぼち」の街の方が好
きなんですけど。不況や若者流出で「ぼちぼち」は難しいのかな。

 てなことで音戸に行ってきました。呉市音戸町。音戸の瀬戸、音戸大橋、音戸
ちりめん。
実は昔、音戸に住んでいたことがあるのです。南穏渡という場所です。「穏渡」
と書いて「おんど」と読みますが、読んで字のごとく平家の落人伝説があるよう
です。「音戸」という表記は、明治期に「音戸町」が成立してからのもののよう
です。

 その南穏渡のアパートに一人暮らしをしていた頃は仕事が忙しく、今のように
休日に街をぶらぶらするような時間はほとんどありませんでした。それでも、空
いた時間を見つけては、少しずつ散策をしていました。当時は「なかなか味のあ
る家並みだな」程度にしか思っていなかったのですが、このたび訪れてみて、面
白いポイントがいくつも残っている街だと云うことが分かりました。今回は、そ
んな面白ポイントをいくつか紹介しようと思います。

 音戸の玄関口と言えば音戸大橋ですが、音戸に行くならやっぱり渡船に乗りた
いものです。車は家に置いて、呉駅へ。呉駅でアイスもなかを一かじりしてバス
に乗り、赤錆びた巨大配管を惚れ惚れと眺め、海と赤い橋が見えてきたら目的地
はもうすぐです。「音戸渡船口」で下車すると渡船桟橋は目の前。この渡船桟橋
の小屋が、まるで映画のセットのような実に素晴らしい建築物です。この錆び具
合、朽ち具合、雑多具合。美しい……はい、撮影。

 渡船で音戸ノ瀬戸を渡りますと、潮の流れが急で、まるで川のようです。なる
ほど船頭泣かせ、一丈五尺の櫓がしわるわけですな(音戸の舟唄)。

 島に着くとすぐ国道なので、車に気をつけながら渡って住宅街の中へ。すると
景色は一変して、港町らしい路地が伸びています。目の前にある、商家をリフォ
ームしたカフェが良い感じです。こういうお店が増えてくると、リピーターが増
えてくるんですよね。

 音戸大橋のループ下をくぐるトンネルを抜け、ループの中に出ます。これまた
不思議な光景で、ミニカーを走らせるおもちゃの中に入り込んだような景色です。
ハイ撮影。広角じゃないので上手く撮れませんが。

 ループから出たところに「おんど観光文化会館うずしお」があります。大河ド
ラマで使用した着物なんかも飾ってありますが、ここで街歩きの資料を入手しま
す。街についてさらに詳しく知りたい方は、観光ガイドを依頼しても良いでしょ
う。

 この近辺の地名は「鰯浜」。音戸らしい名前です。旧街道に入りますと、港町
らしい、間口が狭く奥に長い民家が、肩寄せ合うように連なっています。もらっ
た街歩きマップにも載っている昔ながらの丸いポストや旧風呂屋の街灯、ピンク
色の元銀行も面白いですが、僕がびっくりしたのは木製の電柱。街道沿いに何本
かあります。懐かしくて思わず撮影。それから、建物の軒を避けるようにぐにゃ
っと曲げて建てられた電柱。こちらは鋼管製でしたが、これまた珍しいので撮影。
それからこの街道には、カクンと折れるクランクが3カ所あります。可部の街道
のものほど大きくはありませんが、やはり防備のためでしょうか(遠見遮断)。知
ってないとそのまま通り過ぎてしまいそうですが、道路を直線に作るのが当たり
前の現在では再開発の標的、貴重な形態です。ぜひ撮影を。

 街道を歩いていると、商店、格子戸、卯建、銀行、学校などが次々と現れます。
海沿いの国道ができるまでは、この道を中心に人々が暮らしていたことがよく分
かります。人々がにぎやかに行き交う様子を想像しながら、人のまばらな通りで
シャッターを切りました。

 データを見ますと、この音戸町も多分に漏れず高齢化が進んでおり、全体とし
て残念ながら衰退の方向に向かっております。でも、街を歩いていると、まだま
だたくさんの人が暮らしている様子がうかがえました。酒蔵で「華鳩」の貴醸酒
を買って島からの帰り、はじめに見た渡船乗り場近くのカフェに入ってみました。
呉服商を改装したカフェで、小さくもきれいな庭を眺めながらコーヒーを飲みま
すと、少しずつでも、繰り返し訪れる人が増えると良いなぁと思うのでした。

おんど観光文化会館うずしお
http://www.ondo-uzusio.jp/

くれナビ
http://www.kurenavi.jp/
「呉駅」から「音戸渡船口」へのバス往復には「くれたん」1日乗車券がお得で
すよ~。

榎酒造
http://hanahato.ocnk.net/

巴屋(アイスもなか)
http://www.tomoeya.info/index.html