味の沢岡豆腐店

ご存じの通り、広島市南区段原地区は、再開発された街です。安藤は、その
 再開発の様子をつぶさに見てきました。原爆を比治山がさえぎり、そのかげ
 となって残った古い街並み。これぞ広島の下町といったおもむきのある街で
 したが、付近の交通渋滞、火事が起きても消防車が入れないような入り組ん
 だ細い路地・・・そういった面からも再開発は必要だったようです。

 再開発の途中は、今のきれいな街並みからはしんじられないくらいの有様で
 した。いったん更地にして、線を引き直すわけですから、なにもない広大な
 土地で毎日のように道が変わりました。舗装をしてないので、雨が降れば、
 街全体が、ぬかるみになりました。街灯もない夜中のぬかるみの道を自転車
 で進むのは、怖かったのを覚えています。

 さて、新しく生まれ変わった町、段原ですが、そこに住む人たちも生まれ変
 わったわけではありません。賃貸マンションが多く建ち(なぜか分譲マン
 ションは皆無に近い)、新しい人たちも移り住んできましたが、元々住んで
 いた人たちも戻ってきています。商売をしていた人たちも。

 豆腐屋さん。

 段原には、昔ながらの豆腐を今も提供してくれる豆腐屋さんがあります。昔
 ながらの豆腐・・・機械化された工業製品としての豆腐ではなく、狭い店舗
 で、店主自らが大豆を炊いて、豆乳をしぼり、にがりで固め、水の中にでき
 あがった豆腐を切って放つ。朝の店頭には、使い古されたインスタントコー
 ヒーなどの空き瓶が並びます。これは、近所の常連さんが豆腐になる前の豆
 乳を分けてもらうためだと思います。安藤がこの店に豆腐を買いに行く夕刻
 は、もう既に豆腐はほとんどパック詰めしてありますが、早い時間に行け
 ば、まだ、豆腐は水に浮かんでおり、近所の子供がお鍋を持って、豆腐を買
 いに行くという昔ながらの光景も見られます。

 油揚げというのは、豆腐のスライスを油で揚げたものですが、そのプロセス
 を実際に見ることはまれでしょう。この豆腐店では、油揚げも、がんもどき
 も、厚揚げも、揚げ出しもすべて、「手揚げ」つまり、手作りです。11時
 頃に豆腐を買いに行けば、その様子を見ることができます。豆腐のおいしさ
 はもちろん、それらの手作りの豆腐関連商品、実にうまいんだな。今からの
 おでんの季節にはもってこい。

 例えば、デパートの地下に、「すべて手作り」とか銘打って、同じような方
 法で豆腐及び豆腐関連商品を売っている店があります。そのような店と何が
 違うでしょうか?

 値段です。そのような店は、豆腐一丁に300円とかいう値段をつけたりし
 ます。これは、しょうがないと思います。コストを考えれば、当然そのよう
 になります。デパートの家賃だけでも大変だろうと思います。

 沢岡の豆腐のお値段は、良心的です。もし、よろしかったら、段原に車を走
 らせ、昔ながらの豆腐屋さんで、昔ながらのお豆腐を食べてみませんか?
 店主のおじちゃんとおばちゃんがほのぼのとしてとてもいい雰囲気です。

 「沢岡豆腐店」
 百メーター道路から鶴見橋を渡り、比治山トンネルを抜け、サティを通り過
 ぎ、段原大通りの交差点をさらに直進して、次の信号の所、森一芳園という
 お茶屋さんのとなりの狭い間口のお店です。本物のうまい豆腐をぜひ一度。


 安藤トロワー@会社勤めをしながら家事もこなす兼業主夫