迷ってみましょう広島35

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

 吉田へ行ってきました。吉田と言えば毛利元就。
 NHKの大河ドラマで毛利元就があったのはいつでしたかな。

  広島市中心部から県道37号線(広島三次線)を北上、向原を過ぎて吉田分
 かれ交差点を左折、峠を越えたその先に吉田の町が開けています。平成の大合
 併でこの吉田も近隣の自治体と合併し、安芸高田市になりました。この吉田は、
 安芸高田市の市役所のある場所でもあります。安芸高田市の中心地です。
  意外なことに、吉田は鉄道のルートから外れています。有名な町なのですが。
 それで、バスで行こうかなとも思ったんですが、連日の猛暑でちょっと残暑バ
 テ気味でして。調子が悪くなったらすぐ帰れるようにと今回は車で出かけまし
 た。

  さて、吉田に着きました。いつもなら鉄道の駅かその近辺にある観光案内所
 で地域の観光マップを入手するところですが、それができんとなるとどうした
 ら良いでしょうか。そういう時はね、公民館とか役場とか資料館を探すんです。
 でも、資料館は最後に行こうと思ってるんですよね。ま、何とかなりますか。
 勘で行きましょう勘で。

  歩き始めてすぐ、道のそこかしこに案内板の埋め込まれた石柱があるのに気
 づきました。ほら、こんなに親切じゃないですか。さて、なんて書いてあるの
 かなぁ〜と思って見てみますと、あらら、字が消えかけていて大変読みにくい。
 うーん、残念。改善を望むところですね。

  へらほりの池跡、小早川隆景住居跡など、街頭の案内地図に載っていた場所
 を「これかなぁ」と確信のないまま巡り、旧市街をぐるっと回って多治比川沿
 いに歩いてきますと、その川端にも解説板がありました。この多治比川は、か
 つて稲田川という名前だったのだそうです。稲の田の川。毛利氏がここに城を
 構えた理由の中に「食糧の確保」があったはずでしょうが、その当時の情景が
 目に浮かぶような名前じゃないですか。どういう経緯で名前が変わってしまっ
 たのかは知りませんが、かつての記憶を忘れ去らないでおくことの大切さを、
 その解説板の前でしみじみと感じたのでした。

  ところで、今ちょっと書きました「へらほりの池跡」ですが、石碑があるは
 ずなのにどこなのかよく分からないし、そんなに重要だとも思わなかったんで、
 見つけられなくてもいいやと次へ行ってしまったのですが、あとで吉田歴史民
 俗資料館へ行ったとき詳細を知って、びっくりしました。
  かつて吉田与三郎(本名は河野与三郎)という人がおったのだそうです。
 1670年代に災害が続き、凶作、疫病で人々の生活が困窮した時、この与三
 郎が自邸の裏庭に大きな泉水の造営を計画、多数の民衆を働き手として雇いま
 した。その際、池を掘る道具として、竹べらと直径20センチほどの小さなざ
 るを使わせたのだそうです。どんな大人数で工事をしたとしても、そんな効率
 の悪い道具を使えば当然工期は大幅に伸びます。そうすれば長期に亘って人々
 に日当を払い続けることができますね。その日当のおかげで人々は命を繋ぐこ
 とができましたと。また、完成した大きな池の中ほどには観古亭という建物が
 建てられ、藩主巡行の休憩所にも充てられたそうです。
  ま〜ま〜、偉い人がおっちゃったもんですのぅ。富の再分配。ええですねぇ。
 そんな逸話のある池も現在では跡形もなく、まさに世は諸行無常なのだとこれ
 また感慨深し。

  昼を回り腹も減ったので、食べるところを探して国道54号線をぶらぶらと
 歩いていますと、「にゃんこ屋」という名前の小さなお店が目に付いたので入
 ってみました。
  定食をお願いすると、ご飯は裕に1合はある大盛り、おかずも付け合わせの
 野菜もたっぷりで、そこに味噌汁、漬け物、小鉢が付いて600円。日替わり
 定食なら500円。安いなぁ。この辺の相場はこのぐらいなのかなぁ。とにか
 く、お店のかわいらしい佇まいや価格からは予想できないボリュームでした。
 暑さで若干バテ気味でしたが全ておいしく頂くことができ、お店のお姉さんに
 も元気をもらいました。ありがとうございました。

  さて、一通り町を回ったあと、締めくくりとして歴史民俗資料館へ向かいま
 した。やっぱりというか当然というか、展示内容は毛利氏と郡山城に関するも
 のが中心でした。僕は、普通の人々がどんな暮らしぶりをしていたのかに興味
 があったので、資料館の中ではどちらかといえば補助的な位置付けの、民俗資
 料の方を時間をかけて見て回りました。
  展示資料の中で大変気に入ったものがありました。それは民俗芸能に関する
 ビデオです。視聴覚設備のある一角で、観たい項目のボタンを押すと短いビデ
 オが流れる装置がありました。その項目なかに、吉田の民俗芸能を紹介するも
 のがあったので、これだと思い観てみました。花田植えやだんじりの紹介があ
 った後、獅子舞の紹介が始まりました。大人二人が扮する獅子が家の中までや
 ってきてカポカポと口を鳴らすと子どもがぎゃーと泣くという、所謂獅子舞で
 す。ちょっと子どもの頭に噛みついてみたり、親もニコニコ笑いながら子ども
 を獅子に近づけてみたり。
  そんなビデオの締めくくりが最高でした。遠くから撮影しているのでしょう
 か、田と田の間のまっすぐな農道を子どもが3人走り去って行きます。その後
 ろから、なにもそんなにがんばらなくてもという様な勢いで獅子舞が、4本足
 とも力いっぱい追いかけていくのです。子どもたちはよほど恐いのか全く振り
 返る余裕もなく、そして獅子舞の裾からのぞく白いモモヒキと足袋の躍動。

  きっとゲラゲラ笑ってるんですよ、あの重い獅子頭の下で。それで子どもの
 方は半べそなんでしょうなぁ。いいなぁ。楽しそうじゃなぁ。わしもその役や
 らせてほしいです。
  獅子舞の伝統がいつまでも吉田から消えてしまわないよう願うばかりです。

くつろぎ処 にゃんこ屋
〒731-0521 安芸高田市吉田町常友1610-1
TEL:0826-42-4638
http://www.shokokai.or.jp/34/343811a231/index.htm

安芸高田市
http://www.akitakata.jp/index.html
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