広島でのギャグ芝居

安藤は既婚者なのですが、このところ、夫婦ともども「文化」的に恵まれた生活
 をしておりません。「文化」といっても、この場合「普段よりもほんの少し高度
 の精神活動」くらいに解釈してくださると、うれしいです。世界的な映画祭で頂
 点に立つような映画を一緒に見ることはできませんし、熟練の料理人が、獲得し
 た知恵と知識を披露する素晴らしい料理を一緒に食べることもできません。それ
 どころか一人でベストセラーの小説を読み終えるのもなかなか難しいことです。
 それは、一才児を抱えているからに他ならないのですが、いままでの夫婦単位で
 の「文化」的な楽しみを思うとちょっと窮屈に思うこともあります。あと何年し
 たら、そういう楽しみを取り戻せるのだろうか?

 先日、お芝居のチケットをいただく幸運に恵まれまして、一才児を安藤の母に預
 けて、本当に久しぶりに夫婦二人で見に行きました。作/中島らも、演出/わかぎ
 ゑふ、リリパット・アーミー公演「虎をつれた女」という、ギャグ芝居です。コ
 ンサートですと、広島でもあらゆるジャンルのものが頻繁に催されており、観客
 もコンサート慣れしていて、「もう総立ちさ」なんてこともめずらしくないので
 しょうが、ギャグ芝居となると・・・

 小さいホールでのギャグ芝居、舞台と客席の一体化が、演ずる者にも観る者にも
 よい効果を生むのでしょうが、広島の観客はあまりにも場慣れしていませんでし
 た。大都市での舞台なら爆笑が取れるはずのギャグも上滑りの連続で、熱演の役
 者さん達がかわいそう・・・・

 この公演、下ネタギャグ連発で、安藤はおもしろくてゲタゲタ笑ってましたが、
 実は、かなり強力な(お固い)後援団体がついていたのです。(そんなパトロン
 がいないと、このような芝居の広島公演は無理なのか)。招致した(お固い)後
 援団体の担当者は怒られなかったのだろうか?と、すこし、心配。

 当日はソールドアウトで満席でしたが、その、後援団体がかなりの数のチケット
 を引き受け、団体職員に福利厚生の一環として無料で配ったらしく、「タダ見」
 の客が多かったのも、ギャグの上滑りの原因かな?自分の財布から四千円のチケ
 ット代を出した客とでは見方がちがうだろうからなぁ。やはり何事も自腹で楽し
 まないといかんよね(とタダ見した安藤がえらそうにいう)。

 冒頭で、一才児のために安藤夫婦は「文化」的に恵まれないとぼやきましたが、
 一才児の彼が育ち、彼を育てていくことは、実のところ、お互いにとって「かな
 り高度の精神活動」なのです。しかし、今、多くの適齢期の人たちが、それに踏
 み込まない、踏み込めないのは、とても残念なこと・・・・・


 安藤トロワー@会社勤めをしながら家事もこなす兼業主夫