広島パルコのエスカレータ

今年は広島市中心部に二つの大型商業施設が登場した。紙屋町地下街「シャレ
 オ」と「広島パルコ新館」である。どちらも、安藤の自宅からは10分以内だ
 が、どちらにも安藤は行くことはない。いや単に安藤がターゲットとする顧客
 層から外れているだけのことだ。「広島パルコ新館」についていえば、はなか
 らターゲットでないことはわかっていたので、プレオープンの夕刻に新館ビル
 からアリスガーデンに伸びる若い顧客達の列を冷ややかに眺めた安藤である。

 「シャレオ」のときは、地下街という言葉の響きにもうすこし混沌としたもの
 を期待していたのだけど、あっさりと期待を裏切られ安藤ちょっとがっかり。
 「シャレオ」に仕事帰りのおじさんの憩う場所が少しでもあるだろうか?梅田
 の地下街のような立ち呑みの串カツ屋が欲しいとはいわないが、あまりにも若
 い女性に偏向し過ぎなのではないかしらん。

 さて、パルコのエスカレータである。数年前、パルコの本館がオープンしたと
 き、エスカレータの微妙で奇妙な横幅が気になった。デパートなどのエスカ
 レータは大人二人が一つのステップに並んで立って尚あまるほどの横幅があ
 る。通行量の少ないエスカレータなら大人一人の横幅だ。ところがパルコ本館
 のエスカレータは、大人一人には充分過ぎる程ゆったりだけど、大人二人には
 とても窮屈。一つのステップに並んで立とうとしたら、相当にからだを密着さ
 せる必要がある。そう、このエスカレータの一つのステップにわざわざ並んで
 立とうとする二人は、かなり親密な恋人同士(か親子連れ)である。もし、男
 二人がパルコのエスカレータの一つのステップに並んで立ったとしたら奇異の
 目で見られるかもしれない。

 人前で公然といちゃつく年齢を越えた安藤にとって、このエスカレータを使う
 のはちょっと腹立たしいやら羨ましいやら。安藤の前で後ろで上りで下りで
 カップル達がかなり親密な距離をとる。このエスカレータなら自然に彼女の腰
 に手をまわせる。つきあい始めた彼女との距離を少しでも早く縮めたい男に
 とって、こんな好都合なエスカレータが広島のどこにある?

 パルコ本館の床面積はそれほど広くはない。そこに二人幅のエスカレータを設
 置するのは売場を圧迫するし、一人幅だと狭苦しくて、客の心理を圧迫する。
 はたして、このエスカレータの微妙で奇妙な横幅は、そういった建築条件から
 生まれたものであろうか。それともカップルに親密な距離を提供しようと計算
 されたエスカレータなのか?

 こんなこと、パルコのインフォメーションのお姉さんに聞くわけにもいかず、
 ここ数年、安藤の解けない疑問だったのだが、昨日ニュースで見かけたパルコ
 新館のエスカレータ。あれだけ広い床面積なのに、やはり本館と同じ微妙で奇
 妙な横幅だよ。

 「やはりそうだったのか。パルコのエスカレータ」


 安藤トロワー@兼業主夫(本業主夫、副業会社員)