広島家電量販店勢力地図はどうなる?

安藤の妻は、自称「家電製品おたく」である。このことを端的にものがたるの
は、安藤ちの洗濯機であろう。一般家庭向けの洗濯機って、ほら、上から洗濯物
を放り込むじゃない。安藤ちのはね、横から洗濯物を放り込む、ヨーロッパ式の
「ドラム型洗濯機」というエライかっこいい代物なのでございますよ。

乾燥機も兼ねていて、洗濯〜乾燥が一気にできるし(普通なら洗濯機から乾燥機
に移し替える必要があるんだぞ)、買ってからもう2年以上にはなるけれど、一
度も糸くずの掃除をしたことがない(ということはそれだけ布傷みの少ない)と
ても優れた洗濯機なわけね。

だけど、こいつ、100kgもあるうえに、20万円もしたんだわ。安い洗濯機
なら10台は買えるし、かなり高級な洗濯機でも3台は買えるぞ。まぁ、こうい
うちょっと気違いじみた洗濯機をエイヤッと買ってしまうところが、自称「家電
製品おたく」の「家電製品おたく」たるゆえんじゃないかしらん。

「家電製品おたく」のよろこびは、目的の品物を手にする以前から始まっている
ようだ。家電量販店の売場に立ち、各社製品を眺める。まぁ、鳥瞰とでもいうべ
き段階であろうか。早くもこの段階で、獲物を見つけた猛禽類が地上すれすれに
急降下するかのように、近くの店員を捕まえ、あれこれ質問したりする。店員
は、「家電製品おたく」の鋭い質問によどみなく答えられるようでなければなら
ない。でないと、「家電製品おたく」はイライラするようである。

「家電製品おたく」に「その場で即決」とか「衝動買い」というような言葉は無
縁だ。獲物はじっくり吟味するに限るらしい。鳥瞰後、各社のカタログを一通り
持ち帰り子細に検討するモードに入る。この「自宅のソファでカタログ漬けの
日々」というのも堪えられないようだ。「家電製品おたく」にはカタログの美辞
麗句はほとんどといって効果がない。子細に検討するというのは、カタログの後
ろの方にある「スペック一覧表」というえらいややこしいページを使って各社製
品の特徴を調べ上げることだからである。ふぅ。

「家電製品おたく」はこの段階で安藤に意見を求めることがある。あいにく安藤
が機械に求めるのは必要最小限の機能だけである。車なら、そこそこ走ればよい
し、電子レンジは温まりさえすればよい。そんなだから、「家電製品おたく」の
立場から意見を求められても、ちょっと困る。とてもつれない言い方になるが、
「自分の好きにすれば」としか答えようがない(妻が自分の金で買うのだし)。

再度売場に立つとき、そこは「家電製品おたく」の猟場となる。多くの獲物から
おいしそうな2〜3機種にターゲットをしぼり込んである。2〜3機種から最後
の獲物を決めるため、店員に対する質問はさらに高度なものとなる。店員も即答
できないことが往々にしてある。無理もない。その質問は一般的な顧客がするよ
うなものではない。店員の脳裏には「重箱の隅」とか「超難問」という言葉が浮
かんでいるのではないだろうか。もちろん値段交渉もしっかり行うのはあっぱれ。

最終的には二機種の候補からどちらかを選ぶということになることが多い。さす
がの「家電製品おたく」も躊躇逡巡してしまうのか、またもこの場におよんで安
藤に意見を求めることがある。安藤はいちおう「これこれの理由でこちらがいい
んじゃない」とこたえるが、実は安藤の意見などどうでもよいことは明白であ
る。まぁ、通過儀礼みたいなもんですか。ふぅ。

とまぁ、ここまでだったら、ごく普通の人でも、大枚はたいて家電製品を買うの
だから、これくらいのことは当然するであろう。

今回の獲物のひとつ、ファクシミリ付き電話の取扱説明書は300ページを超え
る!実に分厚い。うんざりするほど分厚い取扱説明書を手にして「家電製品おた
く」はうっとりつぶやく。「これを読破するのが楽しいのよね」「そして機能を
駆使するのが快感なのよね」手に入れた獲物を徹底的に使いこなすのが何よりの
喜びなのである。

安藤の妻「家電製品おたく」は、脳細胞をフル回転させてアッという間に300
ページもある取扱説明書を読破し、理解し、いきなり機能の極限みたいな高度な
使い方をしちゃったりするのである。ふぅ。

ところで、紙屋町の地上のほう(地下街にはがっかりしたなぁ)がいろいろ騒々
しい。家電量販店が生き残りをかけ店舗を一新しはじめている。「家電製品おた
く」たちは、てぐすねひいて待っているのだろうな。


 安藤トロワー@兼業主夫(本業主夫、副業会社員)