迷ってみましょう広島24

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

  府中市に行って来ました。
 府中といえば箪笥。仕事を終えた職人さんが箪笥を眺めながら「大事に、して
 もらいなよぉ」というCMは、広島の人には余りにも有名ですね。あの、反対
 側の引き出しがスッと出るやつ。

  ところで今回、なぜ府中にしようと思ったかというとですね・・・。
 その府中に「府中家具木工資料館」という資料館があるのをネットで見つけた
 んですよ。詳細を見ますと、入館料が無料。こりゃ太っ腹な、運営はやっぱり
 県か市か、と思ってみますと「府中家具工業協同組合」となってます。
 ほほう珍しい、私営なのに無料とは。

  で、開館時間はというと平日が午前9時から午後4時半、土、日、祝日は
 午後1時から4時までと書いてあるではないですか。
  なんじゃこりゃ。平日はともかく、休みの日の開館時間の短さはなんでしょ
 うか。いや、無料だからこんなもんか?それにしても3時間は短すぎるでしょ
 うが。どっかのラーメン屋じゃあるまいし。ん〜〜どうなっとるんかのぅ。
 これは一度行ってみなければ。

  広島駅からJRで福山まで。そこから福塩線に乗り換え、広島市近郊では見
 かけない広々とした田園風景を眺めていると、目的地である府中へ到着。所要
 時間は3時間弱。結構遠いです。

  資料館を目指す前に府中市内をちょっとブラブラしてみました。
 なかなかレトロな雰囲気の町並みです。道が広くまっすぐなので、今まで行っ
 た他のレトロな町並みとはちょっと雰囲気が違いますね。普段、ギュウギュウ
 詰めの街の中に暮らしているものとしては、懐かしい感じと開放感が合わさっ
 て実に心落ち着く風景です。国道以外は車も多くないし。
  「さち」というお好み焼きやさんで昼食をとり、山の手をウロウロして「首
 なし地蔵」に辿り着き、土産に買った「味噌饅頭」と「首なし地蔵最中」を袋
 に入れて、さぁ木工資料館へ出発!

  ところがこれが大変でした。
 遠いんすよ。いや、ほんと。地図じゃぁすぐそこみたいに書いてあるのに!
 いや、そもそも詳しい道順も知らんままこんな観光マップだけを頼りに歩いて
 いこうというのが間違っとるんですが、いやしかし遠い。おまけに真夏日でし
 て。
  目的地はあるのに道順が分からないというのは、しんどいですなぁ。目的無
 くブラブラするのは楽しいのですが、何たって今回は時間制限まであるし(当
 日は土曜日)、あっやばい、もうすぐ1時過ぎるよ、今わし、どの辺まで来と
 んじゃろうか。開館時間内に辿り着けるんじゃろうか。ひぃ〜。

  住宅街から一旦バス通りに出て、何か標識や案内板でもないか右左と見てみ
 ますが何も無し。仕方ないので、きっとこっち方向だろうと目星をつけた方へ
 えいやっと歩き出しましたら、ちょっと行った道の脇に「木工資料館こっち」
 という看板発見!やった〜。わしの勘もなかなかやるのぅ。てゆーか、さっき
 住宅街の中歩いとった時に既にけっこう近くまで来とったんじゃない?っちゅ
 うことはあんまし勘が良くないってことじゃん?いえいえ、そんなネガティブ
 思考はいけません。終わりよければ全て良し。結果が全てなのさ!フンッ。

  住宅街から坂道を少し上ったところに、協同組合の大きな建物とグランド、
 その横に資料館がありました。えらいたいそうな建物だなぁと思ったのですが
 後から聞いたら以前は県の職業訓練校だったそうです。

  資料館を覗くと電気がついてません。あら、開いてないのか?と思ったら、
 資料館の脇で草刈りをしておられる人が。すいませ〜ん。あの〜〜見たいんで
 すけど。「あっ、お客さんです?はいはいちょっと待ってよ。」建物に入って
 電気を点けてくれました。どうも相当にマイナーな資料館のようです。

  「どうぞ、自由に見ていってください」といわれたので、展示してある物を
 一つずつなめるように眺め回しておりましたら、「熱心に見ておられますね」
 と後ろから、さっきの方とは別の職員さんに声をかけられました。

  そこで、最近、民俗資料に興味があるんですよと話をしましたら、それなら
 と一つ一つについて詳しく説明をしてくださいました。
  いや、やはり直接解説してもらうというのは良いものですね。展示品に付い
 ている解説とはレベルの違う濃い話を色々聞くことが出来ました。

  例えば、船箪笥。かつての北前船などに載せられていて、証文や印鑑なども
 収めた当時の金庫。かなり頑丈に出来ていて扉面には鉄の装飾がいっぱい。解
 説には「当時資産を持っていた船主の権威を表すため派手な装飾がある」と書
 いてあるのですが、装飾があるのは扉だけで、その他の面はなーんにも無し。
 つるっとしてシンプルなもんです。
  でも、話を聞いたら、これってちゃんとした理由があるんですって。さて、
 なぜ扉の面にしか装飾がないのでしょうか〜〜。
 (答えは最後)

  それから、同じく船箪笥。衣装を入れるための少し大きめの奴。これは引き
 出しの前面にさらに引き戸が付いていて、この引き戸が水に濡れるとぐぐっと
 膨張するように作られてるんですって。だから、水をかぶっても中の服は濡れ
 ない。すごいな〜。技術だな〜。

  他にも面白いものや情報がいっぱいありました。江戸の大火事の時、車箪笥
 が渋滞して逃げ遅れた人がたくさん出た話だとか、ハーモニカを仕組んである
 箪笥とか、なんで箪笥は一棹二棹って数えるのかとか、その棹の実物だとか、
 引き出しにカギが付いてるのは家にカギをかける習慣がなかったからだとか、
 どうやっても2人以上いないと運べないから丸ごと盗まれる心配はしなくてい
 いだとか、もう面白情報満載でした。
  それから、家具のリフォームのチラシを見せてもらったんですが、桐の箪笥
 って熱に強いそうで、表面が焦げてもちょっと削るだけでピカピカの面が出て
 くるそうなんです。いや、このリフォーム前・後の写真はすごいですよ。

  いや〜、大変に楽しかったのです。閉館時間までじっくり楽しませてもらい
 ました。ですが、その間中、来館者は僕だけ。で、ちょっと聞いてみましたら
 「平成8年にオープンして、今までで1万人くらいですかね、平均したら1日
 3人です。」え〜、こんなに面白いのに。みんなもっと来ようよ。地場産業に
 親しもうぜ。入館料タダじゃし。駐車場ありまくりじゃし。
 ホームページもあります。でも、本物見た方がはるかに面白いよ。

  職員さんに聞いて、帰りはリードライナーっていう高速バスで帰りました。
 安いし早いし、なんだ、来るときもこれで来たら良かった。
 「首なし地蔵最中」職場で配るぞ。うふふふふ。

リードライナー
http://www.hiroko-group.co.jp/kotsu/kousoku/reed/

府中家具木工資料館
http://www.fuchu.or.jp/~kagu/museum/index.htm

答え:扉面だけに鉄の金具をいっぱい付けておくと、船が難破・破壊して箪笥
   ごと海上に投げ出されても、その面だけが重くて必ず下を向くでしょ。
   他の面はぴっちり気密性が確保してあるから中の空気が抜けず、それで
   水に浮くようになっているんだそうです。知恵ですなぁ。

                             by 自転車