「恵比須軒で上海蟹ととっておきの〜」

 お世話になった人を夕食に招待したいと思い、どこのお店にするか迷うところで
 あるが今回は迷わず「恵比須軒」に決めた。個人的には3度目の訪問となるが、
 今まで期待を裏切られなかったのが選択の理由。
 そして、この時季であれば「上海蟹」が味わえるのがもう一つの理由。

 上海蟹は季節物なので事前に入荷の確認をする必要があるとご主人に言われてい
 たので、2週間ほど前に電話で予約を入れる。ご主人曰く「今年は上海蟹が高い
 からね〜、申し訳ないけどお一人様9,000円となるけど良いですか〜?」
 チョット高いとは思いつつ昨年味わった上海蟹の誘惑に勝てず

 「結構です!お願いします」
 10月末日4人で訪問。
 私以外の3人は「恵比須軒」も「上海蟹」も初めてであったが、事前の私からの
 長々とした説明で少々興奮気味(無理も無い)

 次々に料理が運ばれ、その都度ご主人が料理の説明をしてくれる。説明のたびに
 質問を返す私と違い、あとの3人はただただ無言で料理に食らいつく…

 いよいよメインの上海蟹が登場!!   一同喝采。
 私は上海蟹が二度目なのでハサミ(蟹専用)の使い方も憶えていたが、初めての
 3人のためにご主人が手本を見せてくれる。
 一同固唾を飲んでご主人の手とハサミを見守る…

 ここでご主人から「今年は上海蟹が高くて申し訳ないです。あまり申し訳ないの
 で、あとでとっておきのもの出しますから楽しみにして下さい」
                    って言うじゃな〜い(ギター侍!!)
 「とっておきのもの????」
 「何なんだそれは????」
  昨年来た時にご主人が「熊の手」の料理を見せてくれた。
  (本当はチョッピリ味わった)
 ナント4つの手(足)が30万円と聞いて驚いたのを憶えている。
 「とっておきのもの」とは「熊の手」よりすごいものなんじゃないかと期待に
 胸が膨らむ…

 昨年は上海蟹が初めてで、メスとオスを食べてみたく両方を予約時に注文してい
 たが食べるのに2時間近くかかってしまい、一緒に訪問した人と話をするどころ
 でなく全員ただただ蟹と格闘したのを憶えている。
 あまりに蟹との格闘に時間がかかりすぎて他の料理をゆっくり味わう時間が無かっ
 たので次はオスかメスだけにするぞって思っていた。

 今年はメスだけだったので余裕で食べ終わる。
 他の3人も感嘆の声を上げながら食べ終わる。
 全員満足!満足!

 次々に出される料理を見るたびこれがその「とっておきの〜」かと思い4人の目
 が輝く。何皿目かの料理をご主人自ら手に持ち「これがとっておきのものです、
 ドーゾ」ってテーブル中央に置かれた。
 ワクワクしながら待っていた4人の前に出された大皿の上に乗っていたのは餃子
 らしきもの。でもこれは餃子ではないかもしれない…
 だってご主人が「とっておきの〜」って言ってたから。。。

 「こっ こっ これは、もしかしてギッギッギョウザですか?」
          恐る恐る聞いた私にご主人はあっさり
 「そうギョウザ」
          返す言葉も無い私にご主人は
 「まぁ食べてみて」
          早速一口食べてみる
 『やっぱりフツーのギョウザだ〜!それもフツーのギョウザ』
          と思いながら食べ終わったとたん
 『ちっちっちが〜う、フツーのギョウザじゃな〜い』

 皮の食感がプリプリで今までに味わったことの無い感覚が口に広がる…
 中の具も「美味い!!」としか表現できない。

 私たちの食べるのをニコニコしながら見ているご主人に
 「こんな美味いギョウザ食べたこと無いです」
 (あまりに表現力の無いストレートな言葉に愕然した瞬間でした)

 「このギョウザ全然違うのは何故ですか?」っと聞くと
 「とにかく良い材料と手間隙かけて作ると美味しいギョウザができるんです。
 あんまり手間隙がかかるので年に5〜6回しか作らないので、お客さんは本当に
 運が良いんですよ。このギョウザも朝から仕込んでいたんです。」
 なるほど美味いはずだ。

 ご主人が「将来は会員制のギョウザの店を作ろうと思ってるんですよ。本当の
 ギョウザの好きな人だけが来てくれる専門店です。10年ぐらい先の話なんで
 すが…」
 広島ではまだ唸らすギョウザに巡り合えないと嘆く私には迷いも無く
 「是非私も会員にして下さいね」必死さがご主人に伝わったのか
 「いいですよ。その時が来たらお誘いします。」
 『ヤッタァアーーーーー!!』

 約2時間半にもおよぶ食事を終えて帰路に着く車中、当然話題は食べ終えた
 ばかりの料理で大盛り上がり。
 「何が一番美味しかった〜?」
 「う〜ん上海蟹とギョウザとフカヒレのスープ…」
 「あのフカヒレのスープは普通のフカヒレスープじゃなかたね?」
 「そうそうフカヒレ姿煮と松茸とホタテ貝柱と金貨ハムの入ったスープだったね」
 「豪華絢爛という感じのスープだったよ」
 「三不粘(サンプーチィアン)も美味しかった」
 「皿にも箸にも歯にも付かないというデザートでしょ?」
 「そう、あんなの初めて食べた」
 「コラーゲンたっぷりのあの麺も美味しかった」
 「でも。。。最後に出された料理なんでおなかいっぱいで食べれなかった。。。」

 延々とこんな会話が続いた。。。

 とても綺麗とは言い難いお店ではあるけれど、
          訪問した全員が大満足の料理でした。     〈完〉
 (筆:おおたま)