迷ってみましょう広島12

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

  終点。
 「次は〜終点〜ひろしまぁ〜」っていう場合の終点って、ほんとの終点じゃな
 いと思うんです。だってまだ線路が続いてるじゃないですか。行こうと思った
 らまだまだ行けるんですよ。行きゃあいいんですよ行きゃぁ。でもそこで折り
 返したり車庫に入ったりしとかないと、電車の数が足らねェとか、前の電車に
 ぶつかっちまうだとか、色々困ったことが起こるわけです。
  でも、それでもめげずに前へ前へと走っていったらどうなるかというと、日
 本を1周ぐる〜っと回って、結局同じところに戻って来ちゃうんですよね。

  いやぁ、馬鹿言っちゃいけませんよ、人間ね、毎日毎日汗をかきかき生きて
 たらですね、もうここら辺でピシャーッとおしまいにしてもらいたい事だって
 あるんですよ。それでしんどい思いしてる時に「結局さぁ、ぐるっと回って同
 じ所に戻ってきちゃうんだよね〜」なんてお気楽な顔して言われたんじゃ、腹
 が立ちすぎて目がまわりそうですよ、ほんまに。
 俺は終わりが見たいんだ!本当の終点を見せてくれーっ!見せてくれよぅ・・

  ということで、可部線に揺られて三段峡駅まで行ってきました。
 一度でも三段峡駅に行かれたことのある方には分かってもらえると思うのです
 が、三段峡駅のロケーションというのは実に実に素晴らしい。もう、どう頑張
 ってもこれ以上は前に進めませんという場所に、静かに佇んでおります。
  ここより先にはもう平地はありません。あるのは中国山地の峰々と、切り立
 った崖と、深く蒼い流れだけなのであります。

  あぁ、何という潔さ。
 眼前まで迫る厳しい自然と、今日まで人間が血と汗と涙とで築き上げてきた文
 明とが、互いに譲り合いつつも牽制しながら、ここで固まっておるのです。
 それはあたかも、二人の武芸者が対峙したまま凍りついたかのようであり、恋
 人同士が黙って見つめあっているようでもあります。

  線路が途切れたところにある×マークも、実に良かったです。いや、このマ
 ーク自体は色んな所で見られるんですけどね。でもここのマークは良かった。
 「ここより先へはもう行けませんでした(泣)」と言っている様でもあり、
 「ここより先へは、もう行かずにおきましょうよ(微笑)」と諭してくれてい
 る様でもありました。

  で、結局、そのマーク見ただけで帰って来ちゃいました。
 広島−三段峡間は片道1110円。プラス駅弁1050円(「おまかせ寿し」
 ってやつ。柿ようかんのおまけ付き。うまかった〜)。所要時間は片道約2時
 間強。はたしてこれを無駄と思うか思わないかは、あなた次第ですね。
  僕ですか?僕はとても楽しかったですよ。良い1日になりました。

※ みなさんご存じの通り、可部−三段峡間は今秋をもって廃線となります。
 あぁ、あの車窓からの風景と「終点」を失うことの文化的損失は、大きいよ
 なぁ・・・。

※ 僕は結局、×マークを見ただけで帰ってきましたが、三段峡駅の周りには
 民宿やホテルがあり、山菜や鮎を提供しておられる食堂なんかもあります。
 そうそう、ホテルには温泉があって温泉だけの利用も出来るみたいですよ。
 みんなも可部線に乗ろう! 

JRおでかけネット(路線図を見てね♪)
http://www.jr-odekake.net/
                             by 自転車