迷ってみましょう広島30

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

  段々と秋らしい風が吹いてきました。暑かった夏が嘘のようですね。こうい
 う気候になってくると、新しく買った薄手のセーターでも着て、どこかぶらぶ
 らしに行きたくなるものです。

  広島市西区草津。この「迷ってみましょう広島」の第1回目に訪れた場所で
 す。その草津が、ここ何年かの間に、訪問者にとても親切になっているようだ
 と感じまして、気分新たに再訪してみることにしました。

  変化は偶然に訪れたのではありません。自分たちの町の良さをもっと色んな
 人に知ってもらおうと、地元の人々が会を結成し、活動されてきたおかげなの
 です。町の中のお寺や神社、遺構や町並みの中にさりげなく残された先人の汗
 の跡に注目し、その歴史を調べ、ボードにして張り出す、マップを作る。手間
 も暇も掛かる作業でしょうが、そのおかげで僕のようによそから来たものが町
 の中を歩く時、とても楽しく回ることができるのです。派手さはないけれど、
 とてもいい観光客誘致策だなと思います。色んな町で、同じようにしてくれる
 と、世の中すごく楽しくなるんじゃないでしょうか。

  さて、その「草津まちづくりの会」で作られたマップは、広電草津駅にほど
 近い草津公民館でもらうことが出来ます。このマップと同じ物がボードになっ
 て、草津駅のホームや「まちづくり交流広場」等に設置してあります。大変良
 くできたマップですので、ぜひ手に入れてから町を回られることをお勧めしま
 す。また、事前に公民館に申し込んでおけば、町案内のガイドさんをお願いす
 る事も出来るそうです。いいなぁ。案内板だけ見て歩くよりも、詳しい説明を
 直に聞きながら歩いた方が楽しいのですよ。

  ちなみにこの公民館、広電草津駅から直線距離で100メートルと離れてい
 ないのですが、密集した家並みに阻まれているおかげで、実に見つけにくいの
 です。駅のホームで、はて、公民館はどこじゃろかときょろきょろしただけで
 は、どっちの方向にあるのかすらも分かりません。面白いですね、ほんとにす
 ぐ近くにあるんですよ、笑っちゃうほど近くに。
  駅から公民館へ行くにはですね、駅のすぐ脇にかわいらしいコーヒーショッ
 プがありますから、その横の細い道を抜けるんですよ。そうしたらすぐに太い
 道につながってますので、後はまっすぐ歩けば右手にあります。階段を上った
 2階に受付がありますから、そこで「マップが欲しいんですけど」と訊かれる
 と良いでしょう。

  今回僕が公民館でもらったのは「草津まち探訪マップ(神社・仏閣コース約
 2時間)」です。これのほかに、案内範囲を狭めた1時間版もあるそうです。
 マップを手にしたら、後はおすすめコースの点線の示すままに町を歩けばよい
 のですが、今回僕は、このおすすめコースのルート設定に、大変感動したので
 あります。
  いやね、最初はそのコースどおりには歩いてなかったんですよ。まぁ参考程
 度にしときゃええわいと思ってました。ところがですね、町の中を歩き回りな
 がら「なんか面白そうな道だなぁ」と感じる道をマップで確かめてみますと、
 そんな道の多くが、既におすすめコースに組み込まれてることに途中で気がつ
 きまして。それで、慌てて来た道を戻り、改めてコースどおりに再スタートし
 てみたら、これがまた実にマニアックなルート選択、う〜む、これはすごい。
 このマップを作った人は、よほど町歩きが好きな人ですな、実にすばらしい。
 感激。

  これからいろんな町に行ってみようと思っている人や、町を歩くのなんかに
 興味は無いよという人にとってこの草津という町は、町歩きの楽しさを知るに
 はうってつけの町ではなかろうかと思います。格子に出格子、うだて(うだつ)
 に鏝絵(こてえ)、お寺の本堂の梁に施された彫刻やら鬼瓦の細工、高齢樹と
 井戸と祠といびつな町割り。全てが、少しずつ少しずつ積み重ねられてきたも
 のの結晶です。そして、そうした長い歴史を経てきたものたちの中に自然な形
 で近代建築や町工場が溶け込むことで醸し出される人間臭さ、生活感。独特の
 湿った空気。

  おすすめポイントが紹介しきれないほどあるのですが、どうしても一つ選べ
 といわれるならば、山口酒店を紹介しておきましょう。おすすめコースの後半
 にありますんで、コースどおりに歩いていれば自然に着けます。大変佇まいの
 よろしい酒店です。こういうお店が近くにある人が大変うらやましくなります。
 ジャパンのカルチャーに弱い外国の方なら泣いてしまうぐらいのお店です。是
 非営業時間を狙って行ってみて下さい。

  たっぷりどっぷり町の雰囲気に浸かったら、飯でも食べて帰りましょうか。
 広電草津駅のすぐ目の前に「稲荷食堂」というレトロな雰囲気の食堂があるの
 で入ってみました。扉を開けると、コンクリートのたたきとおかずの入ったガ
 ラスケース。随分昔によく見たデザインの、時代がかったテーブルと椅子。お
 ばちゃんにご飯の中サイズと味噌汁を頼んだら、ガラスケースから胡瓜なます
 と焼き魚を選びました。
  部屋の奥のテレビでは、再放送のバラエティ番組。それを観るとは無しに観
 ながら魚の身をほぐしてゆく。ご飯と味噌汁を運んできたおばちゃんは、その
 まま隣のテーブル脇の席へよっこいしょと座り込むと、テレビを観てなにやら
 感想を呟いている。踏み切りの音。店のすぐ横を電車が行過ぎる。具無しかと
 思っていた味噌汁をすすると、底の方に沢山あさりが沈んでおりました。

  これで銭湯があれば最高だったんですけどね。残念ながらありませんでした。
 でも、かつて銭湯だったという建物は見つけましたよ。煙突は撤去されている
 ので、よくよく観察しながら歩かないと見つけられないかもしれません。
 この元銭湯はマップには載ってませんから、見てみたいという方は自力で探し
 てみてくださいな。ヒントはドアです。二つついてるんですよ、男用、女用で。 

 草津公民館
http://www.cf.city.hiroshima.jp/kusatsu-k/
 草津まちづくりの会
http://www.hs-plus.jp/kenkyu/2010/05/post-78.html

                             by 自転車