炭火焼かんべ

http://hamanet.jp/kaishoku/detail.aspx?txtKshopcd=805

広島県福山市能島3-7-9 TEL:084-948-2911 17:00-22:00 日祝休 P有

 もも170円、親鳥170円、つくね170円、ねっく170円、レバー170円、
 ぼんぼち170円、特選手羽先250円、ネギ豚ロース220円、
 ささみのわさび焼き220円、黒毛和牛タン850円、玉ひも540円、串かつ540円、
 黒毛和牛タン刺身1,880円、ずりの刺身850円、レバーの刺身750円、
 かんべ丼850円、親子丼850円、焼きおにぎり430円、焼きおにぎり茶漬け650円、
 お勧めコース2,830円

 広島でも有数の焼き鳥店だと思う。全ての料理に心砕いてあり、たかが焼き鳥と
 言わせないものがあるのだ。それなのに、内容に比べて低価格で、酒やご飯物の
 レベルも非常に高い。ちょっと不便な場所にあるが、リピーターが多いので予約を
 して行った方が確実だ。
 
 焼き鳥は、首の肉、玉ひも、ボンボチなどという珍しいものも出すし、つくねは
 当然、手作り。備長炭を使いぱりっと焼き上げる。鶏が良いから、砂肝や肝を
 刺身で食べることもでき、特に肝の刺身は必食の旨さ。僕は訪店する時に注文し
 なかったことがなく、一度なんか3回おかわりしたことがある。
 牛タンの刺身は旨いが、金曜日にしかないことが多い。
 
 そして、普通のエビスビールなどのほかに、越後ビールという地ビールが置いて
 ある。日本酒はこの店だけのオリジナルで(ラベルではなく中身が)、焼き鳥に
 合う豊潤なタイプ。3種あるうちの原酒が特に焼き鳥にぴったりだ。大吟醸は
 自己完結した味なので、食中酒には向かない。
 
 また、シメのご飯が充実していて、本物のケンニップキムチを使ったおむすび、
 じっくり焼いた焼きむすびの茶漬け、タレ焼きの首肉を乗せたかんべ丼、とある。
 量はシメに合わせて控えめなので、焼き鳥を充分堪能した後でもするりと入るのだ。
 
 僕はこの店を、県内最高クラスの焼き鳥店だと思っていたが、鶏の味だけなら
 「地鶏庵」の方が上だった。
 焼き鳥である以上、素材の善し悪しが直接味に関係するのは致し方がない。
 これ以上は、大将が自分で鶏を飼うところまでやらなければ、解決しない
 問題だろう。ただし、これだけの鶏をこの価格で提供し、なおかつサービスも良い
 のだから、星4つは当然だ。(99.01)

 春日町の「鳥亭かんべ」を2006年5月27日で閉店し、新たな場所で「炭火焼かんべ」
 として再出発されたようだ。僕もゴールデンウィーク中に春日町の店へ訪れておきた
 くて、電話で営業日を確認したのだが、やはり日祝は休みとのことで結局、再訪する
 ことは叶わなかった。移転先は前よりもさらに住宅街に入っており、近所に住んでい
 ない限り、偶然辿り着くことはないと思う。店名から「鳥」が消えたので、今度は
 もっと幅広い炭火焼料理を供するのかもしれない。帰省したときに訪れたいと思う
 が、やはりまた、日祝が休みなのかなぁ。(06.07)

 再訪。移転してからは初めてだ。というか、通っていた頃からもう10年くらい経った
 んだな。場所はとんでもない住宅街の中。徒歩10分の場所に住んでいる友人が少し道
 に迷ったくらいだから、初めての人は地図をプリントアウトして訪れること。駐車場
 はしっかり用意されているが、運転手を連れて行くか、代行は必須と思う。飲めない
 人ならともかく、酒好きな人に焼き鳥を食べつつ、酒を飲むなというのは酷過ぎる。

 店に入ると福山の街が一望できる、なかなかの眺め。親父臭い焼鳥屋ではなく、完全
 にデートコースとして使えるレベル。焼鳥ダイニングとでも言うのかな?そんな感
 じ。以前の店では親父さんがお喋りしつつ、串を焼くスタイルだったが、今はガラス
 で仕切られた焼き場に立っており、ちょっと話は難しい。 10年以上前は親父さんの
 目の前に座って、焼鳥談義をしながら飲み食いしたが、今回はテーブルに陣取った。

 料理はおまかせコースもあったが、焼鳥を色々食べたかったので単品で注文。串は2
 本からしか頼めなくなったので、1人ではなく、2人以上で訪れたほうが良い。もっと
 も、場所が場所なので、一人客は最後まで見かけなかったけれど。予約をしていたの
 で付き出しとして蓮根と糸こんにゃくの煮物が用意されていた。ここの付き出しは以
 前からこんな感じだな。気負いのない、奥様が作るちょっとした煮物というのが昔か
 らのパターンだ。それとキャベツがドンと置いてあった。串は1本170円がベース。以
 前は100~150円だったので、さすがにこの10年で少しだけ値上げしたようだ。まぁ、
 以前の狭い店とは居心地が雲泥の差だしね。最初の串はネック。いわゆるセセリ、首
 の肉だ。この部位はゼラチンが豊富で、旨いには旨いがねちょねちょした食感になる
 ことが多い。しかし、さっくり水分が抜け、ゼラチンのしつこさが抑えられていた。

 焼きの腕はさすがだな。続いてモモ肉。焼鳥店の顔とも言える部位だが、塩加減と焼
 き具合が見事。肉の質であれば、もっと高くて旨い店は他にもあるけれど、焦がすこ
 となく、肉汁を乾かすことなく、塩が表面に浮かず、身の中に入り過ぎてもおらず、
 これこれ!と思わず膝を打った。最近の広島市内の焼肉店では、強めの火で表面を焦
 がすように焼き、中がレアというよりも生の状態で出す店が多く、それはそれで旨い
 のだけれど、きっちり串の周りをミディアムレアくらいに焼き、全体がふっくらした
 焼き鳥は王道的旨さ。肉を焼くのは技術もあるけれど、独特のセンスが要求されるの
 で、大将のセンスが良いんだろうな。次の皮は表面がパリッとして串に近い部分は
 ねっとり。可もなく不可もなくだけど、少し塩が弱かったかな。卓上に塩が置いてあ
 るので、それを少し振って食べた。皮の後はレバー。このタレの味も懐かしかった
 な。粘度が高くて甘めだけど、添えられた芥子を付けて食べると実に旨い。レバーっ
 て芥子が合うんだなと理解できる。しかし、この芥子もちゃんと練った芥子だから旨
 いんだよね。不用意にたくさん付けると、咽ることになるので注意。
 
 そして、この辺りで生モノを。砂ずりの刺身は前から好みだったので頼んだが、やは
 り旨い。マグロの頬肉のような、独特の風味があるし、新鮮な状態で刺身にして食べ
 ると、熱を加えたときの臭いが出てこない。サクサクとした食感は健在で、食べ飽き
 ることがない。

 レバーの刺身は胡麻油と塩で味付け。綺麗な小豆色で、旨いには旨いが、最近は旨い
 鶏レバ刺しを出す店って多いので、以前ほどの感動はないな。もちろん、普通以上に
 旨いのだけれど。そしてもう一つ、数量限定の牛タン刺し。これは10年前から数量限
 定で、しかも曜日限定で提供されていた。熟成は軽いが、タンのねっとりぷにゅぷ
 にゅの旨さは味わえる。個人的にはもっとずっと熟成させたのが好みだけど。この
 後、つくね、特製手羽先、ぼんぼち、玉紐(ちょうちん)、玉子焼。つくねは生つくね
 で、つくねとは思えないほどのレア加減。これにはちょっとびっくりしたな。他の串
 はしっかりめに焼いてあったので、狙った焼き方であることが判る。肉汁がたっぷり
 で旨いには旨かったが、半熟つくねなんて、ちょっとびっくりした。特製手羽先は、
 旨いには旨かったけれど、思ったより普通だったかな。玉紐はかなりの量たっぷり
 で、輸卵管の部分は友人に任せ、僕は将来黄身になる部分を食べたが、これが意外な
 ほど旨かった。こちらも黄身の中心部分はレアというかほとんど生で、口の中でぷ
 ちゅっと潰れ、通常の黄身よりも少しコクの軽いトロトロの黄身が流れ出る。玉紐の
 黄身はカチカチに焼いてしまうと、通常の玉子の黄身よりも固く、風味が悪くなって
 しまうが、こうやってレアに食べると旨いなと思う。輸卵管はボロボロした食感で、
 僕はあまり好まないんだよね。
 
 ぼんぼちは思ったよりも脂を落として焼いてあった。
 そうそう、僕もぼんぼちはある程度脂を落とし、表面をカリッと仕上げたほうが旨い
 と思うので、大将の焼き方には賛成する。最後の玉子焼きは、甘口、普通、辛口と選
 ぶことができ、我々は普通でお願いした。僕には丁度良い甘さだったが、中には「玉
 子焼きに甘味を加えるなんて理解できない」という者もいたので、なかなか難しいと
 ころ。僕はある程度甘味を加えたほうが、玉子のコクが引き立つと思うんだけどな。

 酒類は生ビールが一杯570円と少し高めだし、僕はこの店に来ると日本酒と決めてい
 るので、ミネラルウォーターをチェイサーに最後まで日本酒の原酒で通した。僕の想
 像では、どこかの蔵が桶売りする際の横流し品か何かだと思うのだが、銘柄は昔から
 一切不明。横流し品と書くとイメージが悪いけれど、日本酒の製造には酒税が関係す
 るので、闇で作ったり売ったりというのは考えられず、普段はどこかの酒と混ぜて売
 られている酒ではないかと思ったのだ。メニューにも「かんべの原酒」と書いてあ
 る。酒そのものが抜群に旨いというのではないが、ほどほどに旨くて焼鳥の味を引き
 立てる、実に良いバランスの旨さなのだ。
 
 店が広いが、サービススタッフの数は多く、中には気が利かない人もいたけれど、
 奥様がフロアに出てから一気に良くなった。やはりお人柄かな。大将は僕のことを
 覚えていないようだったが、奥様は向こうから「うわ!久しぶり!」と声をかけて
 くれた。 10年前の常連でも覚えているところが素晴らしいではないか。
 金額は男ばかり6人で飲み食いして、満腹ではないが、充分満足して一人4,500円弱
 だった。次はいつ来ることができるか判らないなぁと思いつつ、立派になった
 「かんべ」を後にした。一つの店の、10年以上の歴史を見守る
 ことができるなんて、我ながら素晴らしい経験だなと感慨に耽った。 (08.02)