田丸

 広島市西区大芝1-14-7 TEL:082-230-9141 11:30-14:30 17:00-22:00
  水休(祝の前日は営業)

 天丼600円、かきあげ天丼700円、海老天丼800円、昼定食800円、昼コース1,200円、
 梅コース1,800円、竹コース2,500円、松コース3,200円、野菜コース1,600円、
 お子様コース1,200円

 大芝公園の近く、かつてラーメン店の「海と大地。」があった場所と言えば判り
 易いだろうか。看板に天ぷら食堂と書いてあるとおり、天ぷらの専門店だ。
 店頭に最も安価な天丼は600円で、ご飯の大盛無料と書いてある。
 食堂の名に違わずリーズナブルだなぁと思いつつ、店に入ってあれれ?と思った。
 天ぷらを揚げている人は、以前「津久根島」におられた人ではないか。
 「津久根島」は現在も営業しているので、以前の揚げ手が独立し、新しい人が揚
 げているということなのだろう。正直「津久根島」時代は、僕の好きなタイプの
 天ぷらではなかったが、新店ではどうなのかな?と思いつつ、昼定食を頼んだ。

 こちらも800円と安価なので、そんなに大きな期待はしていなかった。
 しかし、席に着くと布のおしぼりが供され、すぐに大根おろしの入った天ツユ、
 ミニサラダ、漬物が用意された。このセッティングは前の店と同じだ。
 そして、カウンターに座ると、目の前に天ぷらが次々と置かれる仕組み。
 テーブル席だと篭に入った天ぷらの盛り合わせが運ばれる。どちらにしても揚げ
 立てなので、味に大きな違いはないだろうが、天ぷら好きなら1人かせいぜい2人
 で訪れてカウンターを確保したいところだ。ちなみに、天ぷらが揚がり始めると、
 ご飯と赤出汁を出してくれる。
 
 おそらく季節等により内容は異なるだろうが、僕が訪れたときは計9品出た。
 最初にカボチャが出て、次に海老が2尾、そしてリング状のタマネギと続く。
 カボチャの天ぷらなんて、家庭的というか、誰でも失敗なく揚げられる素材な
 ので、うどん店でも、食堂でも定番だが、やはり旨いものは旨い。
 こういう素材を揚げるところなど、確かに食堂的だなと感じた。しかし、海老
 の天ぷらはさすがの旨さ。気分が一気に天ぷら専門店に切り替わった。海老の
 身がねっとりではなく、ぷちっ、ぷちぷちと弾けるように千切れ、衣はさっく
 りしている。これ、前の店よりも僕好みの揚げ方だ。いや、揚げ方よりも衣が
 変わったのかな?ちょっとその辺りは判断できないが、以前よりも僕にとって
 は好ましくなったことは間違いない。海老は2尾とも尻尾まで食べてしまった。
 タマネギはサクサクしていながら、ツンツンした刺激はなく、爽やかな甘さを
 感じる。これも旨いな。続いてエノキタケ。これは根元の部分を海苔で巻いて
 あった。そんなに主張のある種ではないが、さっくり水分が抜けており普通に
 旨い。
 
 後半の4品は結構面白くて、2品は爪楊枝が刺してあった。素材が判らないなと
 思いつつ、一口サイズなのでぽいっと口に入れ、咀嚼するとゴリリッと音がした。
 続けて噛み締めてもゴリゴリと景気の良い音がする。どうやら肉が付いた軟骨
 のようなのだ。これは鶏じゃなくて豚ではないか。一口で食べてしまったし、
 衣に包まれていたので見た目では全然わからなかったのだが、豚のバラ肉付近
 にある軟骨のように感じた。ご飯には合う味だし、食べていて楽しいが、こう
 いう素材も揚げるのかと少し驚いた。上品な店だったら、油に匂いが付くので
 やらないだろうが、ここは天ぷら食堂なのでオッケーということなのだろう。
 
 実際、肉の天ぷらはご飯のおかずとしては上々で、僕はこういう天ぷらもいい
 なと感じた。続いてもう一つの爪楊枝に刺さった一品だが、こちらは魚の皮だ
 ったかな?ちょっと黒っぽいということしか判らなかったし、やはり一口で食
 べてしまったので詳細は不明。肉ほど主張する中身ではなかったが、ふんわり
 して旨かった。魚の皮ならばもう少し主張があるかな?と思ったが、少しゼラ
 チン質を感じたのだ。んー、あれは何だったのだろう。さらに残りの天ぷらは、
 一つがトラハゼ(標準和名トラギス)。あー、これは天ぷらの王道だなと、海老
 もそうだったが、こういう天ぷらを食べさせてくれるのは嬉しいなと思った。
 身がふっくらして、適度に水分が抜けて、ホコホコと旨い。ちょうど、いま時
 期によく獲れるんだよね。最後の一つは結構サプライズだった。見た目から、
 豚肉か何かを巻いたアスパラガスかな?と思った。ま、想像できる味だなと思
 って口に入れると、ニンニクの香りが拡がった。アスパラガスに見えたのはニ
 ンニクの芽だったのだ。へー、こういう種を揚げるようになったのか。
 
 総じて、上品系の天ぷらに拘らず、しかし、これまでの技術的蓄積を駆使して
 面白い天ぷらになっていると感じた。ご飯はやや柔らかめながらも旨いし、お
 かわり自由なのが嬉しい。赤出汁はシジミで、ちょっと熱々が過ぎていたが、
 まぁ800円の定食なので文句は言えない。漬物は漬かりが軽めだが、天ぷらの
 合間に食べるので丁度良い。ツユだって、この値段なら化調たっぷりである可
 能性もあるのに、そんなことはなかった。いやはや大満足。これなら次回は僕
 の好きな掻き揚げ天丼を食べに来なければ。サービスも良くて、ほぼ満席だっ
 たが全く混乱はなく、ご飯のおかわりなども客が言う前に気付いている状態。

 帰り際の挨拶も店主を始め、スタッフが完全に出来ているし、良い部分は前の
 店となんら変わりはない。単に種と場所が少し変わっただけ、と僕は思った。
 というか、僕が訪れていなかっただけで、前の店でもこういう天ぷらを揚げら
 れていたのかなぁ。だとしたら訪れておくべきだった。ま、今更そういうこと
 を考えても仕方がないので、これからはこちらの店で楽しませてもらおうと思
 う。                           (06.10)