迷ってみましょう広島57

  広島県にしばらく住んでいたら、必ず目にするあのCM。「思い出します、お
 袋の味、ほのぼの香る~、たーけーやまんーじゅう~」。竹屋饅頭と言えば東
 城。あのばあちゃんがうちのばあちゃんに似てるんだな、これが。よし、東城
 まで竹屋饅頭買いに行こう。

  高速道路で行けば広島市内からでもそれほど遠くはないのですが、電車では
 どうだろうかと調べてみますと、これが遠い。広島駅を朝早く出発しても、東
 城に着くのは昼過ぎです。車で行くことにしました。

  国道54号線で三次まで行き、そこから庄原へ抜け、高速道路に併走する県
 道を通って東城へ到着。事前に調べたところでは、歴史資料館が無いようだっ
 たので、まずは「遊YOUさろん東城」にて若干の予備知識と商店街マップを入手。
 次に、土曜日でガラガラの庄原市役所支所の駐車場へありがたく車を駐めさせ
 ていただき、いざ散策開始。

  東城川(成羽川・有栖川)にかかるレトロな橋を渡りますと、左手にレトロ
 で巨大な建物の一群が見えてきました。女学校のような、療養所のような出で
 立ちですが、どうも今は使われていない様子。屋根の形がなかなかおしゃれで
 す。はてこれはいったい何の建物でしょう?入り口らしい場所には何の看板も
 説明もなく、ただ「関係者以外立ち入り禁止」とあるのみ。何だろう。道路を
 挟んですぐ向かいに「ヤマモトロックマシン」という工場があり、守衛さんが
 おられるのが見えます。あの人に聞いたら何かわかるかな。ふと工場の建物を
 見ますと、大きな屋根の一角に、謎の建物群の屋根と同じデザインが施されて
 いる部分を発見!これはこの工場と何か関係ありますね。聞いてみましょう。

  「あの~、ちょっとすみません、あの向かいの建物ってここの工場と関係あ
 る建物なんですか?」「あ、これはですね、会社の寮だったんですよ。」ああ、
 寮か。なるほど。親切な守衛さんで助かりました。なんでも現在は使われてい
 ないそうで、戦前に建てられたものらしいです。それにしても格好良い建物で
 すねと言うと、僕と同様に何の建物かと聞いてくる人が時々いるのだと教えて
 くれました。そりゃそうでしょうね、猛烈に目立ってますよ。

  古そうな建物だとは思いましたが、戦前に作られたものだとは思いませんで
 した。かつてはたくさんの人がこの寮に住んでいたのですね。そうなると、そ
 れに付随して多くの人たちがこの近所に暮らしていたことでしょう。中国山地
 のど真ん中のこの町の、往事の隆盛が忍ばれます。

  ヤマモトロックマシンを後にして、町のメインストリートへと入ります。角
 にある閉店した飲食店の2階に「かんとう煮」と木の看板が出ています。
  長きにわたって多くの商店が入れ替わりを繰り返しながら繁栄してきたので
 しょう。通りの両側にいろいろな時代の建物が並んでいます。格子がきれいな
 建物も見られます。
  酒蔵もあります。蔵と蔵の間の薄暗い路地の向こうに、日の光を浴びている
 小さな社が二つ見えます。そこまで行ってみますと、井戸がありました。
  そして酒蔵のすぐそばには、酢を造る醸造所がありました。大きな建物が並
 んでいて、この一帯は壮観です。

  ふと、向かい側の建物の中に飾られている絵に目がとまりました。東城の町
 並みを繊細な線で描いた横に細長い絵。きれいな絵だなぁ。よく見ると、今の
 井戸の通りも描いてあるし。いいなぁ。欲しいなぁ。売ってないのかなぁ。ど
 ういう絵なのか誰かに聞いてみようかなと振り向くも通りに人影なし。人通り
 が少ないのは好きですけど、こういうとき困るんだよなぁ。んー残念。

  しばらく行くと、竹屋饅頭本店の横に「東城まちなか交流施設えびす」とい
 う建物があったので入ってみました。並べてある土産物を眺めていると、酢が
 おいてありました。よく見ると、ラベルにさっき見た町並みの絵が使われてい
 ます。あ、これだ。酢もなんだかおいしそうだったので1本買いました。梅の
 酢だって。

  それから、国の有形文化財になっている「三楽荘」を見学。入場無料。豪邸
 ですなぁ。庭の池に鯉が泳いでますよ。案内の女性に解説していただいたとこ
 ろ、天井の板が屋久杉なのだそうです。あぁ、屋久杉をこんなに大量に使っち
 まって……。竹原の森川邸もすごかったけど、ここもすごいですね。豪邸マニ
 ア必見です。2階から庭を見下ろすのもまた良い眺めでした。この三楽荘に関
 しては色々な話をネット上で見つけることができます。どんどん活用して、少
 しでも東城の賑わいに貢献できるようにしていってもらいたいです。

  ぐるぐると町の中を歩き回って思ったのは、「でっかい町だったんだなぁ」
 ということでした。城下町様の町割り。平行に走る路地。至る所に見られる胡
 神社。写真館、タンス店、美容院。旅館は何軒あったかな。僕の住む国にはか
 つて、水運に頼れない山中のこの地にこれだけの規模の都市を造りあげるほど
 の交易があったということと、自分がこうした町作りを支えてきた人々の子孫
 なのだということに誇りを感じます。そして同時に、寂しさを感じます。

  竹屋饅頭を、本店で買って帰りました。酒の香りがしてうまかったです。梅
 の酢は焼酎に入れて飲んでみました。うまいわぁ。これは良いものを買いまし
 た。例の、ラベルの絵ですが、矢吹沙織さんと言う方が描かれたものでした。

  今回、なんで忘れたものか、酒を買って帰るのを忘れたんですよ。
 もう一回行かなきゃと思ってます。

矢吹沙織オフィシャルサイト
http://www.yabukisaori.com/
僕が見た絵は「作品集」内の「鉛筆画」にある「新町」という作品です。

後藤商店
http://goto-group.jp/goto_su/index-2.html
僕が買った酢の瓶は、角柱型のおしゃれな瓶でした。

東城まちなか交流施設 えびす(PDF)
www2.city.shobara.hiroshima.jp/download/5457/ebisusyoukai.pdf

生熊酒造
http://www7a.biglobe.ne.jp/~chougunikuma/top/index.html

ヤマモトロックマシンの寮についてはほとんど情報がありませんが、個人のブ
ログで写真を載せておられるものがあります。ヤマモトロックマシン、自治寮
などのキーワードで検索してみてください。