迷ってみましょう広島

   このコーナーは、積極的に道に迷うコーナーです。

 迷ってみましょう広島40

  久しぶりに、竹原に行ってきました。
 僕が町を回り始めた頃から、いろいろな町で何とか観光客を増やそうという取
 り組みが増えてきたように思いますが、この竹原もそういう取り組みをされて
 いる町の一つです。僕が行ったこの日も、「憧憬の道」という名前で、夜にラ
 イトアップをしたりライブがあったりと、様々なイベントが開催されていまし
 た。お昼に行ったので格子の町並みがライトアップされているところは見られ
 なかったのですが、道端にたくさんの竹筒が設置され、その中にろうそくが入
 れてあるのを見ると、あぁ、きっと灯がともる頃には良い雰囲気になるんだろ
 うなと思いました。

  今回もまた、森川邸に行ってみました。
 何回来てみても、でっかいなぁと思いますね、ここは。そうして、主人の居室
 から台所へ向かうと、文字通り「高い敷居」を見て、敷居が高いなぁと思うん
 ですよ。

  石畳に出格子、瓦屋根のひさしが静かな雰囲気を醸し出す竹原町並み保存地
 区。ところが歩いていて、あらっ、こんな所にお店なんてあったっけ?と思う
 ことが何度かありました。前に来たときはもっと寂しかったような。観光客が
 増えて、お店が増えているのだとしたら喜ばしいことです。町が人を呼び、人
 が町を作るという良い循環に入ると良いですね。

  その保存地区の中心、本町通りの南端突き当たりに笠井邸というお屋敷があ
 ります。前は外から眺めるしかできなかったのですが、今回は公開されていま
 したので入ってみました。受付におられる人に聞いてみますと、空き家となっ
 ていたのをNPOが管理・修理して公開しているとのこと。「森川邸のように
 市が買い取って管理したりはしないんですか?」と聞くと、この笠井邸ぐらい
 の規模では市が買い取りに出ることはないと仰ってました。町並みを残してい
 くというのは大変ですね。
  その笠井邸、中に入ってみますとお金持ちとはいえ町家風の長細い構造。奥
 にある中庭から光を取り込む構造になってます。2階へ向かう急な階段を上り
 ますと右側には畳の小部屋。左側は板敷きの大きな部屋。板敷きの部屋は直近
 には倉庫として使われていたようですが、かつては板壁で仕切ってあったよう
 で、「その頃にはどういう使い方をされてたんですか?」とNPOの方に聞き
 ましたが、そこまでは分からないとのこと。

  その板敷きの飾り気のない部屋を見て、僕はてっきり、製塩業が盛んだった
 当時、砂浜で働いておられた浜子さんたちがここで生活をしていたんじゃない
 かと思い、そのNPOの方に質問をしてみました。すると、「浜子さんたちは
 浜に建てられた宿舎に寝泊まりしておられたんですよ」との答え。しかも「そ
 の宿舎を解体してここに移築してあるんですよ、ほら。」と窓を開け、中庭の
 向こう側にある笠井邸の離れを見せてくれました。なるほど、古いアパートの
 ような建物が建ってます。
  僕は、浜子さんたちは過酷な生活環境に置かれていたんじゃないかと勝手に
 想像していたのですが、話を聞いてみるとどうもそうとばかりは限らないよう
 で、近所の農家から毎日出勤してくる人もいれば、宿舎に暮らしながら仕事を
 する人もあり、という様子だったようです。

  また、かつて浜子をしておられた方がまだ健在のようで、学校の授業なんか
 で話を聞いたりもするそうです。安芸の小京都と言われるこの竹原の町並みを
 底辺で支えてきたその浜子さんたちの苦労話、聞くことの出来る機会があれば
 聞いてみたいものです。

                             by 自転車