翠香

 広島県広島市東区光町2-6-1 TEL:082-261-5161
  11:30-14:30 17:30-22:00 (日17:30-22:00のみ)土祝休

 塩ラーメン550円(昼のみ)、醤油ラーメン550円(昼のみ)、坦々麺650円、
 叉焼増+150円、麺増+100円、焼豚炒飯550円、蟹炒飯650円、焼餃子350円、
 麻婆豆腐650円、四川省の麻婆豆腐700円、クラゲの頭の甘酢和え900円、
 スペアリブの豆鼓香り蒸し750円、豚薄切り特製辛味ニンニクソース750円

 東方2001の右斜め前にできた新しい店だ。基本的には中国料理店のようなので、
 ラーメンを食べるつもりはなかったのだが、昼に訪れると、ラーメン、炒飯、
 餃子しかなかったので、菜単のトップに書いてある塩ラーメンを食べることにし
 た。まだ慣れていないのか、提供までにちょっと時間がかかったけれど、気にす
 るほどじゃなかった。澄んで濁りのないスープに黄色の麺が沈んでおり、具はチ
 ャーシュウ、高菜、モヤシ。薬味には白ネギと胡麻を使い、全体に混ざり込んで
 いる。スープを飲むとすっきりした旨さで、胡麻油の香りが少しする。繊細な旨
 いスープだけど、高菜の風味がものすごく邪魔で、もったいないなぁと感じてし
 まった。高菜がなくなるだけで、さらに旨くなると思う。基本的にはラーメン店
 のスープではなくて、中国料理店のスープの取り方のようだ。旨みの量は充分で、
 さらりとしており、塩加減も適切。なかなか上等な塩ラーメンだ。次回はぜひ高
 菜抜きでお願いしたい。麺は自家製なのか?それらしいことが黒板に書いてあっ
 たが尋ねなかったので詳細は不明。しなやかで、やや柔らかめに茹でてあるが、
 このスープには適切な固さだと感じられた。太さは中太でストレートな麺。ちょ
 っと黄色だけど玉子の色だろうか?ほんの少しだけかん水の風味が気になった。
 具は前述の通りで、チャーシュウはバラ肉を使っており、ふんわりとして旨い。
 高菜が邪魔と書いたが、モヤシも邪魔で、スープの味を水っぽくしているだけと
 感じた。ラーメン店として評価するならば現状では星1つ。高菜とモヤシがなく
 なるだけで星2つだと思った。それにしても、これだけ旨い塩ラーメンを作る腕
 があるのなら、その他の料理も気になるな。一見した限りでは、四川料理が得意
 のようだし、今後は夜に訪れてみよう。なお、開店したばかりというのもあるだ
 ろうが、店内は明るく、店主以下楽しそうに仕事をしているのが印象的だった。
  (02.10)
 再訪。塩ラーメンのスープの味と、菜単で確認した夜の料理を鑑みると、この店
 の潜在力はもっと高いことが伺えたのだ。夜の料理を眺めると、種類は少ないが
 前回よりもさらに魅力的なラインナップになっている。刮目したのは、四川式鴨
 の燻製。これは[木章]茶鴨という代表的な四川名菜の一つで、作るのが面倒な
 ためか、重慶や四川へ訪れたときにも、食べさせてくれる店を見つけることがで
 きなかった珍しい料理だ。鴨に下味をつけ、いったん蒸し、それを燻し、さらに
 提供前に油で揚げて温めるという手の込んだ調理を行う。表面がパリッとして、
 燻された良い香りがして、身質はハムに近いけれど、温めたので肉汁が切断面か
 ら滲み出ている。これがたったの1,200円。どう考えても3,000円前後の料理だと
 思うのに激安である。この店では合鴨が使われていたが、値段は高くなっても良
 いから真鴨で作って食べさせてほしいと感じた。麻婆豆腐も普通の麻婆豆腐と四
 川省の麻婆豆腐の2種がある。もちろん、僕は四川省の麻婆豆腐を食べた。香辛料
 は控え、辣油がたっぷり使われており、その中に浸かるように豆腐と挽肉が鎮座
 している。特徴は辣油の上品な旨さで、辛さは控えめだけどとても良い香りがす
 るのだ。訊くと韓国の唐辛子なども使って作った自家製らしい。そして、上から
 は四川の山椒が振りかけてある。辛くて痺れた刺激はそれほど強くないが、品良
 くまとめた本物の麻婆豆腐だ。次に皮蛋豆腐があったのでそれも食べた。シンプ
 ルな料理だけに、料理人のセンスと腕が問われるのだ。冷や奴の上に皮蛋とダイ
 ス状の豚肉を薬味と共に混ぜたものをのせ、ちょっと辛めのソースをかけてある。
 皮蛋の旨さが料理の肝になっているのはもちろんだが、豆腐の質も普通以上には
 高いし、何よりもソースの味が良かった。辛いだけではなく、甘味、酸味、香辛
 料の風味が渾然と混ざっており、非常に旨い。次に豚薄切り特製辛味ニンニクソ
 ース、いわゆる雲片肉だ。これも上品な出来で、バラ肉はあくまで薄く、添えて
 ある野菜も切れ味の良い庖丁で切られたものだと判る。これに使われたソースも
 旨い。どの料理もあまりに旨いので、意地悪なことに焼餃子も頼んでみた。する
 と、皮が口の中でさらりと融けるような独特の触感で、さらに餡が驚くほどジュ
 ーシーという、とても作り置きしていたとは思えない旨さだった。何よりも皮が
 今まで食べたことのないタイプだったので、どのようにして作っているのか問う
 と、レシピを業者に伝えて作ってもらっているとのこと。それにしても素晴らし
 い。中国本土の料理というより、陳建民氏の流れを汲む四川料理に、自分なりの
 アレンジを加えているように感じたので、どこで修業したのか尋ねると、関東方
 面の複数の店で学んだとのことだった。まだまだオープンしたばかりの店なので、
 コンセプトがやや明確ではないところもあるけれど、料理を精選して、旨い料理
 を安価に提供したいという気持ちが伝わってくるようだ。これからどのような店
 に育つのか、僕はもう興味津々である。 (02.10)