蓮華(れんか)

【中国料理・福山市】

 広島県福山市霞町1-5-6 TEL:084-973-9552 17:00-0:00 不定休

 個人盛り3種前菜1,200円、個人盛り5種前菜2,500円、鶏の薬味ソース500円、
 広東風焼豚600円、水餃子500円、色々野菜の炒め煮1,300円、
 マコモタケの炒め800円、四川風麻婆豆腐900円、特大フカヒレの煮込み22,000円、
 フカヒレ背鰭の辛子煮5,000円、フカヒレスープ2,000円、
 車海老のチリソース2,200円、干しナマコの海老子煮込み7,500円、
 アワビの醤油煮込み時価、四川風スモークダック15,000円、
 牛肉の唐辛子煮1,800円、野菜スープ550円、酸辣湯麺800円、担担麺800円、
 豚バラ煮込みかけご飯800円、コース3,500円〜

 ローズコム近く、以前「 福林門があった場所に新しくできた店だ。
福山在住の友人が「素晴らしいです!」と言うので一緒に訪れた。中国料理だからアラカルトで頼もうと思っていたが「絶対にコースがお勧めです」とい
 うので素直に従う。お願いしたのは最も安い3,500円のコース。当然、飲み放題など
 は実施していないので、酒代は別だ。
 
 最初、前菜で出てきたのが、マナガツオ、豚足と鶏冠、鴨肉のライスペーパー包み、
 ビスク風のムースなど。おいおい、値段を間違えているんじゃないか?と言いたく
 なるほどの内容だ。鴨肉は北京ダック風に甜面醤で味付けされ、餅の代わりに
 ライスペーパーを使っているっぽい。
 小さなガラスの容器に入った冷製茶碗蒸しのような料理は、最期にディルが散らし
 てあり、食べるとエビの濃厚な味がドーン!とやって来た。
 
 凄いなこれ、アメリケーヌ風というか、ビスク風というか、ほとんど中国料理じゃ
 ないような気もするが、暴力的に旨い。提供方法も一人分の料理をレンゲの上に置
 いて供するなど、炒め物のように分けて作ることができない料理は別にし、個別の
 皿で提供してくれるのが嬉しい。
 
 続いてスープが2品。僕は後に出た、牛のスネ肉とトマトのスープが気に入った。
 しみじみ旨いスープで、トマトの酸味がすっきりして心地良い。
 続いて蒸し物っぽい料理が出たのだが、その料理に生金針菜が使われていた。乾燥
 品なら判るが、生の金針菜なんて初めてかもしれない。ほろ苦い独特の癖がある味
 で、メイン素材よりもそちらに意識が集中してしまった。
 
 ここからやっと炒め物で、タイの頭の炒め物、ハモと魚卵の炒め物、ハマグリ、ツ
 ブガイ、生金針菜、中国クワイの炒め物、宮保鶏丁と続いた。いや、この間に揚げ
 物として鶏皮にエビを包んでピーマンのソースをかけたものが出ていたはず。
 
 とにかく料理が多いので思い出すのも一苦労だ。印象的だったのはハマグリ、ツブ
 ガイ、生金針菜、中国クワイの炒め物かな。ツブガイのワタが苦旨で、ハマグリの
 プリプリした身も上々。中国クワイの苦さやシャキシャキ感も良くて、酒のアテに
 ぴったりだった。それと、宮保鶏丁にダークチェリーが使われていたのに驚いた。
 この手の甘酸っぱい味付けは、サクランボの味が理想的と言われるので「だったら、
 サクランボを使ってしまえ」ということで使ったらしい。
 何というか、非常にユニークな発想である。
 
 続いてクォパー、揚げお焦げの餡かけだ。この時は、絹ごし豆腐と朝天辣椒のシン
 プルな餡で、揚げたお焦げにかけると盛大に良い音がする。お焦げは作るのが面倒
 なので、既製品を使う店が多いけれど、ここでは自家製だった。この日の料理で僕
 が最も気に入ったのはこのクォパーかな。朝天辣椒の甘い香りと強い辛さが、絹ご
 し豆腐の優しい甘さと好相性。そこに香ばしいお焦げが加わるのだから、旨くない
 はずがない。
 
 この辺りで相当腹一杯だったが、次に麺を出すというので期待して待った。麺料理
 は汁なし担担麺的な料理で、自家製の手打ち麺に、ネギやザーサイを炒めたものが
 載っているのだが、味付けが物凄くリッチ。干し貝柱やエビの味がキツイほどに効
 いているのだ。これってXO醤?沙茶醤?と訊くと「自家製のXO醤です」とのこと。
 麺もそうだし、お焦げもそうだけど、自分で作れるものは、できるだけ自分で作っ
 てしまえというのが流儀のようだ。
 
 続いてデザートの前の口直しにトマト水のソルベ。ソルベとはいえ、甘さは皆無で、
 塩味の効いたトマト水をシャーベットにしてある。中国料理店でトマト水が出てく
 るとは思わなかったな。そして、デザートは桃のソルベで、これでもかと言うくら
 い桃の味がした。
 
 料理を作るのは店主一人で、フロアに奥様らしき女性の方が一人いるのみ。手が足
 りなくなると、店主自らが料理を運んで来るくらいなので、満席になったらおそら
 く回らないと思う。そもそも料理の品数がとんでもないので、料理人は手を休める
 ときがないのだ。ちょっとした料理も合わせると、今回で16品。考えられないボリ
 ュームだ。実際、途中で食べられなくなる人がいるらしく、そういうときはストッ
 プをかけたほうがいいとのこと。または途中で、あと何品出てきますか?と訊いて、
 多いような品数を減らしてもらおう。
 
 僕は「ボリュームは料理人の愛情」と考えているので、最期まできっちり食べたが、
 胃が悲鳴を上げてしまった。それにしても面白い店が出来たものだ。まだ、開店し
 たばかりなので、試行錯誤している最中というのもあるだろうが、志の高さは充分
 に伝わった。料理によっては塩が強かったり、風味がキツかったりしたけれど、
 そういう欠点よりも、食べ手をワクワクさせてくれる美点のほうがずっと多い。
 
 そういう勢いのある料理が僕は嬉しかったのだ。小さくまとまろうとしているので
 はなく、大きく打ち出そうとしているところが気持ち良いではないか。
 この店はきっと、短期間でどんどん変わるだろう。さすがにこれほど大量に料理を
 出し続けるのは無理だろうが、勢いは失わないでほしい。料理の完成度はまだ荒く
 て、ゴツゴツした岩のような料理だが、力強さは僕の知る限り広島県内でトップと
 思う。開店早々という時期を考えても、暫定星3つ。いつも言っているように、
 福山市は中国料理のレベルが高いと感じているが、ついにこういう店が生まれたか
 と思った。また、この店のすぐ近くにあった名店「 竹葉庵」が先日、閉店したば
 かりで、まるでその跡を継ぐかのように、この店が誕生したため、暗示的なものを
 感じてしまった。現在は少し無理をしているように感じるが、身体を壊さないよう
 に頑張ってほしいと思う。 (08.07)