赤ちょうちん博高

  広島市中区流川町4-12 TEL:082-241-6011 17:30-23:00 不定休

 ホルモン650円、コブクロ550円、センマイ650円、マメ600円、ヤサキ600円、
 レバー750円、豚ロース700円、カルビー850円、ミノ1,000円、
 牛ロース1,000〜1,200円、コリコリ550円、レバ刺し850円、
 テールスープ850円(小)400円、ネギ(S)300円、あっさり和風キムチ150円、
 飯大300円中200円小150円

 広島市にいくつかある、赤ちょうちん系のホルモン鉄板焼の店だ。伝聞だが、
 このタイプの店のルーツは広島市南区堀越にある「てっちゃん」らしい。
 ただし、それぞれの店が独自に味を変えているため、店ごとに味は異なるようだ。
 例えば、安芸郡府中町、安芸郡海田町、東広島市西条町にある「赤ちょうちん」
 はグループ店のようだが、吉島町やこの昭和町の「赤ちょうちん」は別らしい。
 実際、店名も「赤ちょうちん博久」となっている。席に着いて驚いたのは、
 白木のカウンターが実に美しいこと。砥粉で磨いてあるのか、とても鉄板焼の店
 とは思えないほどぴかぴかだ。さらに、鉄板もつるつるに磨き上げてあり、それ
 だけで僕は感心してしまった。
 
 料理は、様々な部位の肉を、ネギと一緒に炒めたものであり、塩か味噌ダレで味
 を付ける。味付けは好みを伝えても良いが、店主に尋ねれば、この部分は塩がい
 いよ、とか、こちらはタレがお勧め、とか教えてくれる。僕は最初、レバ刺しを
 頼み、その後、塩味、タレ味と進んだ。レバ刺しはあったりなかったりするよう
 だが、僕はたまたま食べることができた。醤油が添えられ、薬味として生姜と青
 ネギが添えられる。 840円とかなり高めな価格なので、期待して頼んだのだが、
 拍子切りにされたレバーはちょっと少なめ。では極上に旨いのかと問われれば、
 臭みが感じられて甘さもそれほどない。ダメというのではないが、途中から持て
 余してしまった。これは鮮度の問題かな?たまたま悪い日に当たったのかもしれ
 ない。それというのも、それ以外のホルモン類は全て非常に旨かったからだ。
 
 赤ちょうちんの系列は多くの店がそうだが、それぞれの素材を個別に焼くのでは
 なく、塩味は塩味で、タレ味はタレ味で、まとめて焼くのが特徴。それぞれの部
 位の味が渾然となり、単体で食べるよりも旨いというのがその趣旨だ。僕は塩味
 は牛ロースとミノをお願いした。まず、鉄板の火が当たっているところへ円形に
 塩をのせ、その上から白ネギの葉の部分に近いような、ラフなネギのザク切りを
 のせ、それをコテで押さえて少し焼く。そして、牛ロースはレアにミノはややじ
 っくりめに、素材別に熱を通し、ネギと合わせる。それぞれの素材へ適切に熱が
 通ると、全体をざっくり混ぜ合わせ、化学調味料、胡椒を加えて仕上げる。
 素材への熱の通し方は実に丁寧だ。牛ロースは焼肉店で1,000円くらいの肉を頼む
 と、これくらいのものが出てくるな、と思えるほどの肉質。他の部位が安いため、
 高く感じるかもしれないが、費用対効果は決して低くない。ミノには細かく隠し
 包丁が施され、サクサクとして実に旨かった。また、ミノには山椒が合うんだ、
 と鉄板に山椒の粉を盛ってくれたが、確かにこれは好相性。これまで考えたこと
 もなかったが、新たな発見で楽しかった。
 
 続いてタレ焼は、センマイ、ヤサキ、ホルモンでお願いした。こちらは文句なし
 に激旨。「赤ちょうちん」の系列を全て行き尽くした訳ではないが、ここの味噌
 ダレは他店と比べても抜群に旨い。ビールのアテにもぴったりだが、ご飯のおか
 ずとしても秀逸。実際、ご飯を頼んで〆に食べている人もいたくらいだ。センマ
 イは少し乾かすくらいしっかり焼いてタレとの絡みを良くし、ホルモンは脂がた
 っぷり付いた上等なぷりぷりの小腸を使い、ヤサキは内臓とは思えないほどジュ
 ーシーで旨かった。やや味が濃いめなので、もう少しネギを増やしてもらえると
 嬉しいな、と思っていたら、+315円で実際にそういう注文もできるようだ。
 
 僕は常連らしき客の注文を聞いて知ったので、お願いすることができなかった。
 その他には、キムチやキャベツなどを頼んだが、特筆するほどすごく旨いとは感
 じなかった。しかし、105〜210円と極めて安価だし、普通に旨いので、栄養のバ
 ランスを取るためにも頼むようにしたい。少し残念なのは、これだけビールに合
 う料理を提供しつつも、生ビールを置いておらず、全てキリンのクラシック
 ラガー中瓶であること。この料理なら、鉄板から熱々の肉を口に入れた後、ぐー
 っと冷えた生ビールで冷ましたいんだけどなぁ。
 
 スタッフは、寡黙ながら職人的に丁寧に料理をする店主と、調理補助の女性が
 一人いるだけ。この女性の手が早く、何でもテキパキとこなすので、店全体に
 メリハリが効いて、とても居心地が良かった。誤解をおそれずに言えば、ちゃき
 ちゃきの江戸っ子っぽい接客で、人当たりがカラッとしているのだ。ルーツがそ
 うだからか、赤ちょうちんの系列は、どこもガテン系であることが多いけれど、
 ここは店内も清潔だし、接客もソツがないし、お勧めできると思った。
 僕は、次回は最初からホルモン類を、ネギ増量で、どかんと頼みたい。 (04.04)

 再訪。流川町へ移転し「赤ちょうちん博久」から「赤ちょうちん博高」に変わっ
 てからは初めてだ。以前の店では見事な白木のカウンターだったが、こちらは残
 念ながらウレタン加工の集積材。致し方ない、というところだろうか。ここは付
 き出しがないので、まずは生ビールとキャベツを頼んだ。生ビールはヱビスで、
 凍ったジョッキに注がれる。そういえば、以前は生ビールがなくて残念な思いを
 したのだが、今度はヱビスを入れるようにしたらしい。これは嬉しいな。
 
 キャベツは千切りにしてポン酢をかけてある。一人だったので、ミノを塩焼きで
 お願いし、ホルモンとマトンをタレ焼きにしてもらった。そして、それだけでは
 野菜が足りないので、ネギを追加。他の赤ちょうちん系列では、キャベツを加え
 ることが多いので、入れないのかな?と思い訊いてみると「野菜の水分が出るか
 らネギ以外は加えない」とのことだった。なるほど。ミノは細かく切り込みが入
 っており、サクサクと香ばしい。すごく上等なミノというわけではないが、硬く
 てゴムのようなことはなかった。味付けは白っぽい粉状の調味料を4種類振りか
 ける。塩、胡椒、化調までは判ったが、あと1種類は不明。
 
 以前同様、ミノは山椒を付けて食べるといいよ、と言われた。続いてタレ焼きは、
 プリプリの腸壁の脂がごってり付いた小腸と、一昔前のジンギスカンでよく出て
 きた薄くて広いマトンだ。最初にマトンを焼き、続いて小腸、そしてそれらの脂
 を使ってネギを焼き、タレを加えて全体を混ぜ合わせる。やはりこの店はタレ焼
 きだな。この店のタレは、このホルモン鉄板焼きの中で、僕は最も好きだ。味は
 かなり濃いめで少しコチュジャンの甘辛さが感じられる。ビールとの相性も良い
 けれど、ご飯で食べても旨いだろう。
 ほぼ食べ終わった頃に、このタレで焼き飯を作ったら旨いと思うな、と話したら
 「よく言われるんだけどね。肉と一緒に焼いた味噌が一番旨いんだよ。ほら、こ
 の鉄板の上で煮詰まったヤツをご飯に絡めて食べてごらん」と言われ、茶碗に
 一口のご飯を出してくれた。タレ焼きの最初は、味噌が十分に絡んでいるのだが、
 最後の辺りは、周りに油が拡がってきて、中心に近いところへ味噌が残る。どう
 やら、味噌ダレの中に胡麻油が使われているらしく、しばらく焼くと、味噌と胡
 麻油が分離してしまうようだ。
 ご飯に香ばしく焼けた味噌を絡めて食べると、確かにこれはすごく旨い。
 茶碗一膳どころか、丼飯でも食べられる旨さだった。ここを訪れたら、ぜひ〆に
 試してほしい。なお、いつまでも放っておくと、味噌の水分が完全に蒸発してし
 まい、ガビガビになって鉄板に張り付くので、あまりお喋りに夢中にならないよ
 うに。

 サービスは以前も決して悪くなかったが、随分良くなったように感じた。何とい
 うか、客との距離の取り方がしなやかになったという印象。以前の家庭的な雰囲
 気も良いけれど、常連ばかりという感じだったので、一見としてはちょっと居辛
 い部分があったのだが、こちらではそういう雰囲気は一切感じなかった。ホルモ
 ン類は場所柄、以前より少し値上げしたようだが、味は変わらず、むしろ初めて
 訪れる客にとっては居心地が良くなったように感じられた。
 
 よく考えてみると、赤ちょうちん系列は、流川・薬研堀界隈には初出店となるの
 ではないか。これまで、歓楽街でホルモンの味噌ダレ鉄板焼きを食べたいと思っ
 たら「利根屋」しかなかったけれど、新たな選択肢ができたということだろう
 (昭和町時代に比して値上げされたが)。値上げされたので、星2つかと思ったが、
 サービス面が向上されているように感じたので星3つとする。
 
 一人1,000円プラスになっても、サービスが良いことを望むなら、僕はここを勧
 めたい。ちょっと小奇麗な服装で食べに行く感じではないが(服に味噌ダレが跳
 ねるかも?)この料理が好きな人はぜひ訪れてみてほしい。 (05.09)