重丸製麺所

  安芸郡府中町浜田3-6-14 TEL:082-281-6555 11:30-14:00
     (居酒屋 18:00-22:00) 日休 P有

 かけ350円、ざる450円、おろしぶっかけ450円、釜あげ450円、湯だめ400円、
 釜玉500円、きつね450円、とろろ450円、うどん定食600円、大盛+80円、
 天ぷら50円、おでん80円

 安芸郡府中町のスパーク裏にある店だ。幹線道路からは完全に隠れており、穴場的。
 さらに店名が「重丸製麺所」だから、まるで香川県の製麺所店のようだが、
 実際は製麺業を営んでいる訳ではないし、金額も製麺所店の一玉100円前後ではな
 い。讃岐うどんを知る人向けの言葉で言えば「一般店」にカテゴライズされるので注
 意されたい。さらに、うどん店として営業しているのは昼だけで、夜は要予約で、鍋
 や炭焼料理などを提供する居酒屋になる、と書いてあった。まだ開店して間がないよ
 うで、店主と奥様の手つきはやや素人っぽいが、うどんは数年前から勉強していたと
 のこと。
 
 小麦粉は珍しく「讃岐のゆめ2000」だ。最初、メニューに「ひやひや」と書いてあ
 ったので「おっ、ひやひやができるのか?ということはひやあつも可能か?」
 と思い「ひやひやください」と言うと「『おろし』でよろしいですか?」と言われ
 てしまった。どうやら、冷たいうどんのことを「ひやひや」と呼んでいるようだ。
 判りにくいなぁ、既に、ひやひやといえば冷たいツユに冷たい麺、ひやあつといえ
 ば冷たい麺に熱いツユという社会的コンセンサスが得られつつあると思うのだが。

 何はともあれ、僕はおろしぶっかけ(メニュー表示はひやひやのおろし)を頼むこと
 にした。
  「今から麺を茹でるので、少し時間がかかるんですが・・・」と申し訳なさそう
 に言われたが、それはむしろ歓迎すべきことなので、大喜びで待った。
 
 そもそも、うどんの茹であがりが待てない人は、セルフ店に行くべきなのだ。さて、
 運ばれてきたうどんは、冷たい麺の上に、大根おろし、生姜、青ネギがのり、冷た
 いツユがぶっかけてある。麺にはそれほど艶はないが、白磁のような鈍い輝きがあ
 る。持ち上げるとそれなりに伸びがあった。食べると、最初はふわっと歯を受け止
 めるのに、最後の部分でたおやかに押し返す。モチモチ感が強く、柳腰のある麺で、
 なんとなく女性的な印象だ。これがおそらく「讃岐のゆめ2000」の特徴なんだろう
 な。
 
 さぬきうどんの旨さの真骨頂は剛麺にあると思うけれど、こういう麺もまた楽しい。
 印象的だったのは、麺の塩分をあまり感じないところで、塩分が少なめなのに小麦
 の風味はしっかりと感じられる。むしろ、こちらのタイプのほうが好きだという人
 がいても、全く不思議ではない。
 
 ツユは煮干しの味が強く効いており、この点でもさぬきうどんらしかった。塩っぱ
 くもなく、旨味が濃厚で、魚臭さもない旨いツユだ。最近、新規出店している
 うどん店の特徴だけれど、麺もさることながら、ツユが旨い。甘さが控えめという
 か、ほとんど甘さを感じないのも特徴か。残念だったのは天ぷらが旨くないことで、
 揚げ方云々以前の問題として、衣が旨くない。これは水で溶くだけの簡易天ぷら粉
 を使っているのではないか。確かに一見、上手く揚がるが食べたときの味の悪さは、
 伝統的な技法とは比べる価値もないほど酷い。ましてや冷めたら食べるのがつらい
 ほど味が落ちる。揚げ油も市販のサラダ油っぽいし、天ぷらについては改善を望み
 たいところだ。ご飯類とおでんは今回、食べなかったのでコメントはできない。
 
 サービスは素人っぽく、まだ同じ動作をそれほど繰り返していない印象。やはり、
 手際の良さというのは繰り返した回数に比例するのかもしれない。しかしながら、
 店主らしきおじさんの物腰は柔らかく、奥様らしき女性の対応も温かい。家庭的な
 雰囲気の店だ。
 そして、特筆しておきたいのは、店の半分がテラス席になっていること。うどん店
 の作りとしては、非常に珍しいと思う。「最近のうどん店は、旨いけれど硬過ぎて
 イケない」という方と、麺に旨みにあるうどんが好きな方には、特にお勧めと思う
 な。(03.04)