KANPAI - K - Wine  【居酒屋】

http://hamanet.jp/kaishoku/detail.aspx?txtKshopcd=1855
 広島県広島市中区猫屋町4-4 TEL:082-291-5887 18:00-22:00 日と月の祝休

 タチウオ刺身600円、貝柱刺身600円、マグロ刺身700円、ハモ湯引き800円、
 カレイ生チリ1,200円、トリガイ刺身700円、ヨナキガイ刺身800円、
 タチウオ鉄板焼き1,200円、地鶏鉄板焼き800円、牛カルビ鉄板焼き1,200円、
 牛タン鉄板焼き1,500円、地鶏手羽300円、ざる豆腐300円、油揚げ400円、
 有機キュウリ300円、モヤシ400円、糠漬け300円、地鶏串200円、貝柱串300円、
 ヨナキガイ串600円、イシダイ頭600円、地鶏レバー塩焼き500円、舌先塩焼き400円

 流川を南下し、平和大通り近く。カサブランカビルの3階にある店だ。店の全て
 を切り盛りするのは店主兼料理人ただ一人なので、何一つするにも順番でなけれ
 ば処理できない。しかも、客に愛想を振り撒くタイプの人ではない。静かな微笑
 みをたたえたまま、淡々と、飄々と料理する。よって、店に入っても、料理が立
 て込んでいればおしぼりすら出て来なかったりする。
 
 生ビールを注文しても、汚れた手でグラスを扱わないし、注ぎが丁寧なので、
 最低5分は待つ。初めて訪れたなら「ねぇ、僕のビール、忘れられてない?」と
 訊きたくなること必至。とにかく、手際良く出て来なければイライラするという
 人には全く向かないので、このことは特に念押しして注意したい。
 
 しかし、僕はこの店の料理が大好きだ。端的に言えば、我が家の料理に近い。
 僕自身が居酒屋を運営するなら、この店とすごく近い形になると感じる。
 そのため、店主にはシンパシーを感じるし、なぜこのような料理を供するのか、
 手に取るように理解できるのだ。料理はどれもシンプルで飾りがない。
 素材的には、魚と鶏と野菜が主になる。魚はどれも天然物。

 さらに、天然物の中でもかなり上等なものを用意していると感じた。天然物の魚
 とはいえ、養殖の魚が逃げ出しただけの、見る人が見れば実態は養殖の魚もいる
 し、養殖場のすぐ近くで餌付けされていた魚なども養殖の魚に近付く。単に自然
 界で取れたから「これは天然だ」と言い抜けるのではなく、その魚の生きてきた
 環境がほぼ全て天然であることを見抜いて、天然であると胸を張るのは大きな違
 いがある。
 
 僕は、初めて訪れたときに食べたタイラギの凝縮味が忘れられない。
 身の肥えた上等なアサリの貝柱の凝縮された旨味を、サイズのみタイラギの貝柱
 に変えたらこんな感じか?と思うほど。次に訪れたときに食べたヒラメの旨さも
 出色だった。間違いなく、これまでに僕が食べて来たヒラメの中でも五指に入る
 旨さ。搗き立ての餅のようなふかふかした身の弾力と、新鮮なイカの刺身のよう
 なねっとり感があった。夏の初めと終りに食べたカレイも最高だった。僕はカレ
 イの刺身って好きだなぁ。ヒラメに比べると野趣があって食べ応えがあるのだが、
 旨いカレイの刺身というのはなかなか食べられないのだ。
 
 基本的には何を食べても旨い、と言いたいが、ご飯は少し弱い。店によっては
 釜で炊いた旨いご飯を出してくれるが、ここでは保温されたご飯なので、どうし
 てもその点は落ちるのだ。僕は基本的に居酒屋ではご飯を食べないのだが、
 一度「今日は玉子ご飯ができますよ」と言われて食べたのだ。そう、ここで使う
 鶏は神石町の田邉さんの鶏。広島市内では他に「土井商店kaido」で扱っているが、
 本当に自然に育てられた鶏なのだ。よって、入荷はとても少ない。メニューに書
 いてあってもないことがある。というか、この店にはそういうものがとても多い。
 
 世の常として、本当に良い素材は、大型店でバンバン出せるほど流通していない
 のだ。時化が続いたりすると、魚介類が全てなくなる。そんなときは肉か野菜を
 頼むしかない。が、肉も選んで仕入れているので食べたい部位がなかったりする。
 基本的には、お勧めなどを訊きながら、あるものを食べるしかない、というのが
 この店のスタイルだ。

 ちなみに僕は、付き出しの後にほぼ必ずポテトサラダを頼むことにしている。そ
 こへブロッコリーやトマトなどの野菜を盛り合わせてもらう。ポテトサラダは芋
 の味がしみじみ旨くて、マヨネーズ臭くない。野菜も素性のしっかりしたもので、
 どれも硬く詰まっており、風味が強い。これらを食べながら、次の魚料理が出て
 くるのを待つのだ。酒は生ビールが実に旨い。「無櫓火」「オオムラ」レベルだ。

 さらに、日本酒が旨い。メジャーではないが、旨い酒を作る蔵のものが置いてあ
 る。僕はいつもお勧めの酒を飲むが、僕と好みが似ているらしく、骨格がしっか
 りして咽喉越し良く、濃すぎず料理に合う酒が出てくることが多い。他にはワイ
 ンも相当好きなようだし、焼酎も数は多くないが、良いものが揃っている。ただ、
 僕は料理との相性を考えると、ここはビールか日本酒と思うな。料理の単価は、
 絶対値で考えると決して安くない。ポーションも多くないので多いに飲み食いす
 ると、一人5,000円は確実に超える。それなのに店構えは何でもない雑居ビルの
 居酒屋然としているし、サービスも至れり尽せりではないため、細かな味の差を
 楽しむことができないとツライと思う。少なくとも養殖と天然の魚の違いが判る
 くらいでないと、んー、確かに旨いけれど、この値段なら当然では?という感想
 を持ちかねないのだ。
 
 満席になったら料理が全然出て来ないし、僕の座る場所が確保できないし、煙草
 の煙に悩まされる可能性が増えるのだが、こういう店を好み、大切にしたい人は
 大勢いるはず。そんな人たちがひっそりと通ってくれればなと思うのだ。(05.09)